マレーシア金融大手CIMBグループのタイ現地法人CIMB Thaiはネットバンキングを全面廃止し、スマホアプリ銀行への移行を始めた。
東南アジアではかなり先進的な取り組み。
この記事の目次
タイの銀行CIMB Thaiとは?
CIMB Thaiはマレーシア金融大手CIMBグループ傘下のタイ現地銀行。
以前はタイ資本の中堅銀行だったがCIMBグループが2008年に買収をし、今ではタイ国内の資産規模ランキングで第10位の金融機関となっている。
個人としてのCIMB Thaiとの関わりは2017年の口座開設時からで、以後タイ株投資の資金口座や旅行時のおサイフ口座として積極的に活用している。
タイの銀行口座に関してはビザ等を保有していないと外国人は難しいのだが、マレーシアCIMBグループは一定額以上の資産保有者向けにPreferredという会員資格を与えており、この会員サービスを使うことでASEAN地域現地の銀行口座開設が斡旋してもらえる。
当時はこのルートで口座を開いている。
◯CIMB Thaiの口座開設記事
ネットバンキングを全面廃止!スマホアプリ銀行へ移行するCIMB Thai
CIMB Thaiは従来より一般的な銀行と同じく店舗での窓口営業を基本とし、付随サービスとしてネットバンキングを提供していた。
それが近年CIMBグループは全社でデジタル化を推進する方針を打ち出しており、ベトナムやフィリピンにて店舗をほとんど持たないネット銀行を設立している。
その流れに合わせてCIMB Thaiも支店を削減したり、コンビニでの口座開設を受け付けたりと様々な省力化の施策を進めており、2019年12月からはネットバンキング機能を全面廃止し、専用アプリでの銀行サービスの提供に限定するという大きな運用の変更を行っている。
支店営業はまだ残るがかなりアグレッシブな方針変更。
外国人も利用可能なスマホアプリCIMB THAI Digital Banking。でも制約はある
ネットバンキングの代わりとなるのがCIMB THAI Digital Banking。現時点では従来のサービス内容から大きく変更はないが専用アプリを通じて各種手続きが行えるようになっている。
アプリはまず2019年よりタイ国民向けに展開され、その後2020年3月には外国人ユーザーにも英語版が提供されるようになった。それに合わせて従来のネットバンキングは順次廃止されていっている。
自分も早速登録を行ったが、外国人が使う場合の流れは次のとおり。
- 口座開設時登録のパスポート番号を入力
- デビットカード番号を入力
- 登録済のタイ携帯番号でSMS認証
- 完了
既存の口座保有者であれば特段難しい内容ではなかった。
ただ、手続き完了後に知ったのだが、CIMB THAI Digital Bankingでは来店不要でアプリからe-savingという最大金利2%が付く専用口座の開設が可能なのだが、外国人は申し込み出来ない状態となっている。
それ以外にも外国人制限は複数ある。
一応送金や請求精算、PromptPay(国のQR決済システム)など基本サービスは揃っているので特段の不都合は無い。
ちなみに現時点では新規口座開設手続きをアプリで行うことはまだ出来ない。
新規口座開設時はまだ支店へ出向く必要があるが、e-KYCの導入は確実なので将来的には全てアプリで完了するかも
今回ネットバンキング機能を廃止したCIMB Thaiだが、スマホアプリ銀行への移行は始まったばかりなので新規口座開設時は従来どおり支店へ訪れる必要がある。
ただ、CIMB Thaiは国の本人認証規格National Digital IDによるオンライン本人確認(e-KYC)の検証をタイ中央銀行の認可の元で行っている銀行グループの一つであり、このテストは年内には完了する予定で、その後は一般客向けにも展開される計画となっている。
もしこのe-KYCが実現されれば一切の来店が不要となり銀行サービスがかなり便利になる。(外国人は対象外だろうけど)
◯e-KYCを使った取り組み
CIMBグループは2012年のタイ大手アユタヤ銀行の入札の際に日本のMUFGグループに負けた経緯があり、CIMB Thaiを展開しているもののタイ国内ではあまりぱっとしない存在であった。
そして現在はデジタル化時代に合わせて、従来とは全く異なるスマホアプリ銀行への業態変更を進める状況となったのだが、銀行規模が小さい分スムーズに移行は完了するのではないかと思われる。
そう考えると当時アユタヤ銀行への入札に負けたのは今となっては良かったのかもしれない。
より便利な銀行サービスが提供されることを期待しながら、引き続きCIMB Thaiの動向を見守りたいと思います。
以上です。