マレーシアに対して皆さんどんなイメージ持ってますか?
自分は初めて訪れるまでパーム油・ツインタワー・ルックイースト政策ぐらいしか知らず、イメージは何も持っていなかった。
その後、実際に旅行で何度か訪れてかなり気に入り、投資目的も兼ねて長期滞在ビザ(MM2Hビザ)を取得するまでに至った。
今回は日本居住者の視点でマレーシアの魅力を書きたい。
※実際に現地で生活したことがある訳では無いので、現地滞在経験者からすれば実情とは異なる部分も多々あると思う。ご容赦ください。
この記事の目次
マレーシアの魅力(生活面)
まずは生活面での魅力について。
冒頭に書いたとおり、現地で生活したわけではないので、旅行で過去訪れた際に他の国と比較して感じた魅力になる。
◯多民族・多宗教国家で面白い
マレーシアはマレー系・中華系・インド系の人種とイスラム教・仏教・ヒンズー教・キリスト教の宗教が入り混じった国。それぞれの文化が根づいている。
例えば宗教に絡んだ行事や祝日は下記のように豊富にある。
■マレーシアの行事
- 1月:元旦
- 2月:タイプーサム(ヒンズー教)
- 2月:春節(仏教)
- 4月:復活祭(キリスト教)
- 5月:釈迦生誕祭(仏教)
- 6月:ラマダン明け際(イスラム教)
- 9月:犠牲祭(イスラム教)
- 10月:ディーパバリ(ヒンズー教)
- 12月:ムハンマド生誕祭(イスラム教)
- 12月:クリスマス(キリスト教)
日本でも季節ごとに行事はあるが、マレーシアの行事はかなり本格的で、特に春節(旧正月)やラマダーン(断食)明け、ディーパバリ(ヒンズー教新年)はかなり盛り上がるとのこと。残念ながらいずれの行事期間中にも現地滞在をしたことが無いので、いつかは体験してみたいと思っている。
自分は過去年末から正月にかけてを現地で過ごした事があるが、逆にこっちはそこまで盛り上がってはいなかった。
また、マレーシアでは街中を歩いていても各宗教の寺院を偏りなく見かけ、それぞれの宗教が生活に密着していることがよく分かる。
食事についても文化や民族によって様々なジャンルがあり、これも多民族・多宗教国家の良いところ。
◯英語が広く通じる
マレーシアの公用語はマレー語であるが、多民族国家であるので英語が広く使われている。
これは結構大きなメリットで、例えば店や街中で人と話すときにコミュニケーションを取りやすいし、また、各種サービス(自分の場合は銀行とクレジットカードと証券を経験)を申し込むときでも、説明書と申込書は英語になるので手続きがスムーズに行える。
マレーシアを含めて自分が過去旅行した国(アジア)の中で英語の通じやすさを個人的な経験に基づいてまとめると下記。
国 | 通じやすさ |
---|---|
韓国 | ✕ |
台湾 | ✕ |
フィリピン | ◎ |
ベトナム | ✕ |
ラオス | △ |
カンボジア | ◯ |
タイ | △ |
マレーシア | ◯ |
都市部か地方かでも状況はかなり異なるので異論はあるとは思うが、フィリピンが一番英語が通じて、マレーシアはその次ぐらいに通じるというのは旅行した人なら分かるはず。
マレーシアでは中華系同士では中国語、インド系同士ではタミル語と、同じ人種同士ではその人種の言語を使い、異なる人種同士では英語が使われるらしい。
実際現地の人の会話をそこまで聞いたことはないので本当かどうか分からないが、確かにそれなら必然的に英語は覚えることになる。
◯経済発展の度合いに比べて物価が安い
マレーシアといえば物価が安い国というのは多くの人が聞いたことがあるかもしれない。
ただ、東南アジアであれば物価が安いのはマレーシアに限ったことでは無いので、重要なのは発展度合い(生活レベルの質)に比べてどうなのかといった部分。
長期滞在をするのであれば日常生活に欠かせない医療や他のサービスの充実度合いとかが大事で、その点ではマレーシアは東南アジアで発展している国の一つと言われている中でも、物価水準はリーズナブル。
自分は現地で生活したわけではないので実情は分からないが、旅行レベルでフィリピンのマニラとマレーシアのクアラルンプールへ近い時期に訪れた時は、お手頃感はフィリピンの方があるものの、マレーシアの方が発展度合いとの兼ね合いで見たお得感をかなり感じた。
また、生活面とはちょっと離れてしまうが、エクスペディアが過去発表した観光コスパランキングではマレーシアが1位になっている。(マレーシアはホテルが何故かめちゃくちゃ安いってのもある)
アジアの「観光コスパ」ランキング、1位はクアラルンプール!日本の1/4の価格で滞在可能
「観光コスパ」とは?
観光に要するコスト(費用)を対比させた度合いのこと。発生するコストが少ないほど、コストパフォーマンス(コスパ)が良く、観光客にとってお得な旅行と言える。
アジア各国の「観光コスパ」を調べてみたところ、一番コストパフォーマンスが良い都市はマレーシアのクアラルンプールという結果になりました。5つ星ホテル宿泊を含めた一日の総合観光費用を比較したところ、なんと日本の1/4の価格で滞在できることがわかりました。その費用は15,904円です。
2位はタイ・バンコクの17,715円、3位はベトナム・ハノイの21,002円という結果になりました。いずれも、アジアの中でもトップで旅行人気が伸びている都市であることから、アジア旅行人気と「観光コスパ」との相関性の高さが伺えます。
沖縄も東京の約65%の価格で滞在できることがわかりました。またホテルの宿泊費はシンガポールより僅かに高いものの、シンガポールでは食費とビール代が高めなことから、「観光コスパ」ランキングでは逆転しています。エクスペディア(https://welove.expedia.co.jp/press/9507/)より
残念ながらインフレが進み、日本の1/3とかつては言われていた程ではないものの、コスパで考えればまだマレーシアは魅力的。
◯長期滞在ビザが取得しやすい
最後に現地生活に欠かせないビザの取得のしやすさを挙げたい。
日本人であればビザなしでも大体の国で一定期間滞在することができる。さらに滞在期限が切れる前に出入国を繰り返す事で、実質的な長期滞在が可能になる国もある。
ただ、この行為はビザランと言われており、ご存知のとおりタイやベトナムでは規制が強化された。
現時点で規制がゆるい国であっても、世界情勢を踏まえて今後強化されていく可能性は十分ある。やはり合法的に長期的な現地滞在ができるビザの取得が望ましい。
そんな中、ビザを取得しやすい国としてマレーシアとフィリピンが有名(タイは年齢制限があるのでここでは除外)だが、上にて説明した生活環境の良さとビザ取得後のメンテ面を考えるとマレーシアの長期滞在ビザ(MM2H)はより魅力的。
マレーシア | フィリピン | |
---|---|---|
ビザ名称 | MM2H | クオータビザ |
種別 | 長期滞在型数次ビザ | 永住権 |
有効期間 | 10年 | 期間無し |
年齢制限 | 無し | 無し |
就労可否 | 不可 | 可 |
預託金 | 最大900万円相当 | 実質無し |
制約事項 | パスポート更新時とビザ更新時に手続きが必要 | 毎年移民局にて年次報告書の提出が必要 |
マレーシアのMM2Hはソーシャルビジットパスと呼ばれる、最長10年の滞在許可証と数次ビザ(複数回入国が可能なビザ)が組み合わさったもの。フィリピンのクオータビザは永住権。
資金拘束が無く、就労可能で有効期限も無いクオータビザの方が条件は良いが、制約事項に書いたとおり、毎年指定時期に現地移民局に赴いて年次レポートを提出する必要がある。
毎年それも定められた時期にとなると結構厳しい。
一方のMM2Hであれば、パスポートの更新時とMM2H自体の期限が切れた時に手続きをする程度で、最長10年間マレーシアへ行かなくても問題ない。メンテ面を考えるとMM2Hの方が優れている。
ちなみに預託金についてはクオータビザは一時的に500万円相当を銀行に預けておく必要があるが、ビザ取得後は自由に使っても良い。MM2Hについては期間中は預け入れておく必要があるが、ビザキャンセル後は引き出す事が可能になる。
ここはタイで発行されている購入型ビザのタイランドエリートとは異なる。
このようなビザはいずれは条件が厳しくなるので早めの取得をした方が良いという判断の元、自分は2016年11月にMM2Hを入手している。
特にビザを持っていることでの制約がある訳では無いので、早く行動しておく事に越したことは無い。
マレーシアの魅力(投資面)
次は投資先としてのマレーシアの魅力について。
生活面での魅力と被る部分もあるが投資環境の良さについて書く。
◯経済発展著しい新興国
まず最も重要なのがマレーシアが経済発展が著しい新興国であるということ。マレーシアでは銀行金利は3%台で株式の配当利回りは5%を超える銘柄も多い。
よく新興国投資のメリットとしてリターンの高さが挙げられるが、これは先進国と比べて若い世代の人口が多く、まだ発展の余地が残っているから。
昨年クアラルンプールを訪れた際に、5年前と比べ電車の路線が拡張され、高層ビルやショッピングモールがかなり増えているのを目の当たりにした。
そればかりか、まだ至るところでビル建設が進められているのを見て、経済発展の勢いを実感した。(単純に不動産バブルの可能性も無くは無いが・・。)
また街中に若者が溢れているのを見ると、少子高齢化が進んでいる日本と違って活気がある。
新興国ならではの投資リスクもあるが、リスクとリターンは表裏の関係。経済発展が進めばあらゆる面で儲けのチャンスが得られる。
◯正式に金融口座が持てる
海外の金融口座はマネロン観点で基本的には開設が困難なケースが多い。
国によっては、A銀行ではダメだったが、B銀行なら交渉すれば開設できた!といった情報をネット上でよく見るが、これらは正式に認められているものかよく分からないため、万が一何かあっても保証は無い。(無いとは思うが強制解約のリスクとか)
一方のマレーシアでは、MM2Hは政府が発行する現地滞在ビザであり、これを持っていれば現地で生活する際に欠かせない銀行口座や、その他金融口座の開設手続きを現地人同様に正規ルートで進めることが出来る。
国の後ろ盾があるかないかは結構大きい。
◯東南アジア屈指の金融先進国
東南アジアの金融先進国と言うとシンガポールを思い浮かべるかも知れないが、上場数で言えば実はシンガポール証券取引所(757社)よりマレーシア証券取引所(903社)の方が多い。
■国別上場数と時価総額
単純に数が多ければ良いというものでも無いが、選択肢が増える分投資チャンスも増す。
またマレーシアはイスラム教国ということもあってイスラム金融が発展している。身近なところであれば、街中の銀行でもイスラム銀行と普通銀行があるのをよく目にする。
イスラム金融はイスラム債であったり、イスラムファンドであったりと様々な商品がある中で、マレーシアはイスラム金融の取引拠点として世界の中でも存在感が極めて強い。
自分のような日本居住の非ムスリムにとっては直接的な恩恵は無いが、イスラム金融の取引が活発になることで、他の金融取引も活発になりメリットを享受することができる。
◯英語が共通言語として使われる
これは生活面でも書いたが英語が広く使われているため、宣伝であったり、各種手続きであったり、実際のサービス(オンラインバンキング・オンライントレード)であったりで英語は必ず使われる。
CMとか見てみると英語+他の言語とかいろいろあって面白い。
■銀行のCM(全部英語)
■銀行のCM(一部マレー語に英語字幕)
■通信会社のCM(英語に中国語字幕)
実際に自分が申し込んだサービスであれば、証券口座の説明書とクレジットカードの封入物は英語・マレー語・中国語で書かれていた。これがもし英語圏以外の国で現地の言葉でしか書かれていなかったら何もできない。
銀行については、他の国でも有名所であれば英語での手続きもできるかもしれないが、本店とか大きな店舗でしか受け付けていないのではないかと思う。
その点では、自分が去年銀行手続きをした場所は小さな支店だったので、広く英語が使われるというのはやはりメリット。
また、マレーシア現地企業の配当通知や株主総会議案などは全て英語で書かれている。
マレーシア以外の外国企業へ株式投資をしたことが無いので他の国がどうなのか分からないが、少なくとも日本企業であれば日本語だけ。(年次報告書の英語版を作っている所もあるが)
そんな事で今年は英語で現地の情報が得られるメリットを活かして積極的にマレーシア株への投資をしたいと思っている。
◯投資利益に対して税金がかからない
最後に挙げるのはマレーシアの税制メリット。
マレーシアは銀行利息や配当金、譲渡益などの投資利益に対して税金はかからない。一方で日本は一律約20%の源泉徴収。この違いはかなり大きい。
サラリーマンの人は自分の給料を思い浮かべて見て欲しい。給料明細の支給総額から20%ぐらい税金等で差し引かれた額が手取りになっているはず。これが無税となればどれほど嬉しいことか。
ただ、これは日本非居住者のケース。日本にいる限りは日本での納税義務が生じるのが、それでもメリットはあると考えている。
例えば皆さんが大好きなアメリカ株。アメリカ株では配当金に対して10%のアメリカ本土の税金が差し引かれ、その後さらに20%が日本の税金として持って行かれる。
源泉徴収で約30%が税金として引かれている状態になる。
一応確定申告をすればアメリカの税金分を取り返す事も可能であるが、そもそも無税である方が良いに決まっている。
生活権利取得×現地投資=最強のリスクヘッジ
ここまででマレーシアの魅力を生活面と投資面で書いたが、自分がMM2Hを取得した一番の理由は投資目的。
現地での投資をすることのメリットは下記に書いている。
とはいえ、見知らぬ国のしかも新興国に投資するというだけでは、為替リスクや政治リスク、インフレリスクなど様々なリスクが出てくる。
それらの回避策として、現地で生活できる権利と組み合わせることが最強のリスクヘッジだと考えている。
例えば、多くの人が恐れる為替リスク。
多くの人はその時の為替レートで円貨換算をし、投資タイミングのレートより円高であれば為替損と評価判定をする。
為替は結構恐ろしく、外貨元本を3%程度で運用して高利回りだ!と思っていても為替変動なんかドル円を見ていても分かるように5%以上の動くのは当たり前。
これが新興国通貨となればもっと変動幅は大きいし、長期で見ても固定的な下落トレンドでドルコスト法も通用しないケースも多い。
ただ、ここで強調したいのはこの考えはあくまでも日本目線で考えたケースでしかないということ。
つまり何が言いたいのかというと、
- 1ドル=120円
- 1ドル=80円
上記にように為替が大きく動いたとしてもアメリカ目線であれば1ドルは同じ1ドル。
為替レートが上がろうが下がろうがアメリカ人にとって全く関係ない訳で、5ドルのハンバーガーをアメリカ人はいつも通り5ドルで食べる。(ドルの価値は変わらない)
従ってマレーシアに当てはめるといくら為替が変動しようが現地で生活して現地で消費をしてしまえば全く関係無くなる。1マレーシアリンギットは日本円がいくらであろうが、同じ1マレーシアリンギット。
そして次はインフレ。
よく新興国はインフレのリスクが有ると言われる。たしかに数字だけ見ればかなり大きなインフレ率であるが、最終的に自分が支払う金額で考えれば日本と比べて大した額ではない。日本とマレーシアどちらが生活費が安いか考えれば一目瞭然。
いくらマレーシアでインフレが起きているからと言っても、それが日本の物価水準まで上昇するというのは現時点では全く考えられない。従って絶対値で見た両国の比較で、安い国にいればそれだけで十分節約効果になる。
このように現地に滞在できる権利(ビザ)を取得したうえで現地で投資をすることはリスクヘッジも兼ねてかなりメリットがあると考えている。
東欧のよく分からない国へネットだけでリモート投資をするよりは実際に現地に住んで現地で消費することが出来る国へ投資をした方が絶対安心。
幸いにも自分は冒頭に記載したとおり、マレーシアという国に魅力を感じており、お金さえあれば移住しても良いと思っているぐらい。
残念ながら今は全く資金が無いので移住できる可能性は0であるが、現地への投資を継続しつつ、海外生活を引き続き目指して行きたいと思っている。
最後にマレーシアのPR動画を載せておく。
これはマレーシア観光局が作ったPR動画なので、物価が安い!医療も安心!環境抜群!と褒めまくっている。
全てを真に受けず見てほしいと思うが、マレーシアの良さは少しは分かるのではないかと思う。
■マレーシアPR動画
主に年配者をターゲットにしているPR動画なので生活面の良さをアピールしている。個人的には投資目的の内容もあったら嬉しいのだが。(ただし不動産投資はいらないや)