海外まで行って外国企業の株主総会へ参加してきた。
渡航先はマレーシア。
リゾート地で有名なペナン島と、ツインタワーのある首都クアラルンプールで2社の総会に参加をした。
議事進行や投資家からの質問は全て英語。議決権行使は専用の投票システムを使っておりかなり先進的。
株主優待らしきもの(お土産)も貰えたのでぜひご紹介したい。
この記事の目次
外国株の株主総会への参加方法
まずは株主総会への参加方法について。
外国企業の株主総会は、日本と同じく権利確定日を過ぎるまで株式を保有し、議決権を得ることで参加資格がもらえる。
ただ、日本の証券会社で外国株を保有する場合だと直接個人名義で株式を保有する事ができず、現地のカストディアン(証券を代理保管する企業・機関)へ委託してカストディアン名義で保有することになる。
この場合だと株主総会案内や年次レポートは個人宛には送られず、総会参加の手続きが進められない。また配当再投資やTOBなどのコーポレートアクションへ応募することも出来ない。
従って海外の株主総会に参加するには、現地の証券会社に口座を開いて直接投資をするという方法をとる必要がある。
今回のケースではマレーシアで開設した現地証券会社の口座を使い、株主総会への参加資格を得ている。
もしこれが米国企業であれば、現地のインタラクティブ・ブローカーズ証券やファーストレード証券があるので、そこを使えば総会へ参加ができるはず。
Rakuten Tradeで議決権獲得
議決権獲得に使ったのはマレーシア現地証券会社のRakuten Trade。
ここは日本の楽天証券が現地証券会社と合弁で設立したネット専業証券会社になる。
◯Rakuten Tradeの口座開設
マレーシアでは直接個人が株を保有する方式と、証券会社名義にて代理で株を保有する方式の2種類があり、Rakuten Tradeは後者の口座のみを提供している。
そのため、今回の株主総会参加にあたっては、権利確定後にRakuten Tradeへ委任手続きを依頼している。
具体的な手続きは株主総会の日程が発表された後、メールで登録情報等を送るだけ。
非常に簡単。
■依頼時に必要な情報
- Client name
- NRIC / Passport No
- Acc. No
- CDS No
- Type of Meeting (EGM/AGM)
- Meeting Date
- Stock name and Code
- No. Shares held
- Address
株主総会の日程は開催日1ヶ月前頃にマレーシア証券取引所より公示さるので、そこの情報を転記する。
非常にシンプル。
現地の株主総会参加レポート
証券会社へ参加の手続きをしたら後はパスポートを持って会場へ行くだけ。
特に参加証が送られてくる訳ではない。
レポートをしたい。
◯1社目:Texchem Resources@ペナン
まずはペナン島で参加したTexchem Resources。
同社は日本人が創業しレストラン事業や食品加工事業、ポリマー事業など様々な事業を展開している。
会場はペナン島中心部にあるHotel Jen Penang by Shangri-La。総会開始は11時だったので朝食を食べてから向かう。
ホテルに入って案内ボードを見ると8:00〜と表示があり若干焦る。
会場に向かうとちょうど受付が始まったところだった。フェイク。
受付ではShare holder(一般株主)とProxy(代理人)に分かれており、自分の場合は後者。
外国人なのでパスポートを提示すればOK。
確認が取れるとQRコード付きリストバンドとグループが運営するレストランで使えるクーポン券をもらう。
この会社はオリジナルブランドの回転寿司を運営する他、吉野家やはなまるうどん、ドトールや星乃珈琲などを現地でフランチャイズ展開している。
会場は数百人規模の中規模フロア。
会場に入る際にリストバンドのQRコードを読み取り、議決権行使用の端末が渡される。
進んでいる。
ペナンは華人が多い州ということもあり、参加者のほとんどはご年配の中華系マレーシア人。中国語での会話が聞こえる。
そして11時を過ぎてから株主総会開始。
会長の小西さんの挨拶から始まり、新CEOの紹介と新CEOからの事業結果報告、そして2018年度の事業計画発表と進む。
その後は質疑応答。
お隣さんと中国語でおしゃべりしていたご年配投資家達だが、質問は全て英語でこなす。マレーシア人グローバル人材過ぎる。
鋭い質問をする人もいれば、会場に笑いが起こるオモシロ質問をする人がいるなど日本と変わらない。
そして質問が出なくなると議案決議へ進む。
投票は端末を使い一定時間内に賛成か反対かのボタンを押す。そうすると結果がスライドに反映される。
かなりハイテク。
無事全て審議が終わったら総会は終了。
そして皆さんそわそわし始める。下の会場でランチが振る舞われるからだ。
この情報は事前にリサーチ済。
自分も会場へ向かうと既に争奪戦が繰り広げられていた。
後ろに人が並んでいようがお構いなしに残り全部をかさらっていく人がいたり、袋に詰めて持って帰る強者もいる。
日本の総会でも争奪戦が繰り広げられるケースが多い事は知っているが、こっちの方がレベルが高い。
なんとか食料を確保。着席形式なのでゆっくり頂く事が出来た。
開始早々に売り切れたデザートコーナーだが、後から追加投入がされたのですかさず貰いに行く。
そして無事ゲット。
ホットコーヒーも頂き非常に満足。
楽しい株主総会でした。
◯2社目:CIMB Group Holdings@KL
2社目はクアラルンプールで参加をしたCIMB Group Holdings。
同社はマレーシア第2位の銀行を傘下に持つ総合金融グループ。ビザ関連の資金をここに預けているので自分の取引銀行でもある。
ASEAN地域のユニバーサルバンクを目指し、マレーシア・シンガポール・タイ・カンボジア・インドネシア・ベトナム・フィリピンに進出している。
総会会場はコンベンションセンターのNexus Bangsar South。クアラルンプール中心部KLセントラル駅からLRTで3つ目ケリンチ駅で降り、歩いて20分程の場所にある。
アクセスは非常に悪いが、前日から宿泊していた会場近くのホテルより徒歩で向かう。
フロアに着くと同社のマスコットキャラクターのオクトくんがお出迎え。
全く可愛くない。
そして中に入ると入り口付近に人集りができカメラも何台か来ていた。
何だと思ったら社長がいた。
そして会場はかなり賑やか。
同社グループが提供するサービスやCSR活動の展示を行っていた。
ちなみにマレーシアのSuicaことTouch ‘n GoはCIMBの子会社。
そして受付。
パスポートを提示して確認が取れればリストバンドが貰える。
種類別に色が違っており、自分のはProxy(代理人)用のバンド。
そして朝食チケットとお土産の封筒も一緒にもらう。
朝食チケットは別室で弁当と引き換えてくれる。
流れ作業。
弁当はあまり美味しくない。リンゴは丸かじりのアメリカンスタイル。
そして封筒の中身を確認するとギフトカードが入っていた。
ガソリンスタンドで使えるチャージ式プリペイドカードのようだ。
弁当を食べ終えたら会場へ入る。早すぎたのでまだ人がいない。
豪華な会場。
そして時間になったら株主総会開始。
流れは1社目と同じで会長の挨拶から始まり、社長の事業報告へと進む。
ちなみに会長は同国首相の弟。
その後は質疑応答タイム。ここでも株主からのオモシロ質問を聞いて議案の採決へ進む。
今回は異議なしを確認するのみ。
実際の投票は総会終了後に別室のPCで行う。
いろいろ進んでいる。
投票が済んだらお土産のパンを貰って終了。
昼飯の提供は無かったがこちらも楽しかった。
株主優待は無いがお土産で楽しめる
株主優待は日本独自の制度と言われているが、株主総会参加後に土産を渡すというのは海外でも実施している。
今回頂いたお土産で日本の株主優待のように楽しめる事が出来た。
まずは1社目でもらった割引券。
利用先は現地の星乃珈琲。
一番高いステーキプレートと食後のドリップコーヒーを頂く。
支払は52.6RMから50RMを割引いて2.6RM(約72円)。
大変満足。
そして次は2社目でもらったギフトカード。
こちらはガソリンスタンドで使えるプリペイドカードだが、店員に聞いたら併設のショップでも利用可能とのことだった。
クアラルンプールでは良い感じのホテルに泊まったのだが、食事へ行くのがめんどいのでコンビニ飯の買い込みの際に使わせてもらった。
チャージ済の30RMの内17.8RM(約498円)分を使った。
これでホテルの外へ出なくても済む。
非常にありがたい。
株主総会へ多く参加すれば、海外でも桐谷さんみたいな活動が出来ることが分かった。
次はタイ企業の株主総会へ参加したい
今回はマレーシア企業の株主総会に参加をしたのだが刺激的で非常に楽しむ事が出来た。
海外の証券口座はこの他にタイでも開設しているので、次は是非ともタイ企業の総会に参加してみたい。
タイではマレーシアと違って外国人投資に制約があるのと、進行はタイ語オンリーで恐らく行われるのでちょっと難易度が高いが、ぜひともチャレンジしてみたい。
参加に向けてまずは銘柄選定から始められればと思う。
以上です。
【19年4月追記】タイ企業の株主総会にも参加してきました
◯タイ企業(バンコク銀行)の株主総会に参加
コメント
ブラボーーー!です。
– Shareholder Voucherあるんですね。日々外国人に株主優待を煽っている自分は涙が出そうになりました(笑)。そして速攻星乃珈琲MYで使うMdishさんが素敵☆
– 弁当出るとか一昔前の吉野家やコロワイドの総会みたいで素敵ですね。
– あの超出来レースの議決、MYではちゃんとデジタルに可視化してやるんですね。ここは日本のブラック企業共も見習ってほしいものです。
– 私も数千円規模の超零細ベトナム株主ですが、最近各社からウザいくらい総会招集通知が来ます。同じくシンプルで分単位にAgendaが書いてあるだけ。来月BIDVのキャッシュカードを作るだけのために7営業日ベトナムの高級ホテルをブラつくので、機会があれば行ってみたくなりました。つまり私はカストじゃないってことですね。勉強になります。
なかなか良い体験を出来ました。株主優待は無いですがお土産でやりくりできそうです。もし移住できたら複数の銘柄に投資をして積極的に総会に参加できればと思いました。
ベトナム投資順調ですね。ぜひベトナム旅楽しんできてください!