文章下手改善のために適当に書く不定期の独り言。トップ写真は毎回旅行先で撮ったものを掲載。
今回は投資で得られるリターンについて持論を書きたい。具体的には「プレミアム」と言われる上乗せリターンについて。
この記事の目次
プレミアムって何?
プレミアムって言葉知っていますか?
ビールのプレミアムモ◯ツとかの影響か、個人的には”高級な”って意味合いを強く感じるが、人によっては”割増の”という意味で捉える人もいると思う。
実はこれどっちも正しく、辞書で見てみるとこんな感じで説明されている。
(ちなみにpremiumって英語ね。)
音節pre・mi・um 発音記号/príːmiəm/音声を聞く
名詞可算名詞1特別賞与,奨励金.
2割増金,プレミアム.
3(保険の)掛け金,保険料.
可算名詞としての「premium」のイディオムやフレーズ
be [stánd] at a prémium pùt [plàce] a prémium on… 形容詞限定用法の形容詞1〈商品が〉品質がよくて高価な,高級な.
premium grapes 高級ブドウ.2〈値段など〉割り増し付きの.
premium prices [rates] 割り増し付きの値段[料金].
weblio英和辞典・和英時点(http://ejje.weblio.jp/content/premium)より引用
今回は投資に関して述べたいと思っているのでプレミアムでも”割増”の方について。
(でもやっぱりプレミアムって言ったら思い浮かぶのはプ◯モルだよな。サ◯トリーのCM力恐るべし・・。)
リスクプレミアムと流動性プレミアム
投資や金融に関する用語でリスクプレミアムと流動性プレミアムというのがある。何かカッコつけた名称になっているが意味は至ってシンプル。
前者は大学で金融・経済系の授業をとっていたら一度は聞いた事があると思うが、それぞれ紹介しておく。
◯リスクプレミアム
まずはリスクプレミアムについて。
リスクプレミアムとはリスクがある投資先に上乗せされる収益率のこと。
業界の人っぽくカッコつけて書くと「リスクプレミアムとはリスク資産の期待収益率と無リスク資産の収益率の差分」となる。
具体的な内容で考えたほうが手っ取り早いので、とある会社が社債を売るケースを想定して欲しい。
社債はご存知のとおり会社が潰れたら元本が償還されないというリスク付き商品。これがもし国債と同じ利回りで販売されていたら、わざわざ社債の方を買う投資家はいるだろうか?
一方はリスクありの商品。他方は国の保証が付いた無リスク商品。国債が売り切れにならない限りわざわざリスク商品である社債を買う人はいるはずが無い。
じゃーどうすれば社債が売れるようになるの?というと、お分かりのとおり国債の利回りに上乗せする形で高い利率を社債に設定すれば良い。それだけ。
こうすればリスクを取ってでも利回りの高い商品を狙う投資家(リスク選好型の投資家)が社債の方を買ってくれる。
この時のリスクに対する上乗せ利率分をリスクプレミアムと呼ぶ。
上記の例では
リスクプレミアム=社債の利回り−国債の利回り
(リスク資産の期待収益率−無リスク資産の収益率)
となる。他にも具体例はいくらでもある。
■リスクプレミアムの具体例
◯株式配当と銀行定期預金
⇒配当金が定期預金利子以下であれば誰も株式投資しない。
◯消費者金融と銀行融資の金利
⇒銀行融資を受けられなかった人(あるいは企業)は貸し倒れのリスクが高いと判断されている。銀行で融資不可と言われた場合は、より金利の高い消費者金融または商工ローンでお金を借りるしか無くなる。なぜ金利が高いかと言うと消費者金融・商工ローン会社は貸し倒れリスクが高い人にお金を貸すことになるから。
などなど。
まあどれも普通に考えれば当たり前のことだよね。大学の授業とか、金融業界ではこれをカッコ付けて言っているだけ。
◯流動性プレミアム
次は流動性プレミアムについて。
業界の人は流動性プレミアムをなんて説明してるのか知らんが、簡単に言うと「流動性の低い資産に上乗せされる収益率」のこと。
一番しっくりくる具体例が預入期間に応じた定期預金金利。
上記はある銀行の定期預金の案内。
皆さんも経験があると思うが、定期預金金利は預入期間が長い方が、高い利率になる傾向がある。
これはお金を預ける側としては早くお金が帰って来る方が、使うことも出来るし、あるいは別の投資に回すこともできるので好ましいから。
資金が動かせないことに対する機会損失分に見合った利率でないと預金者は長期定期には預け入れない。
したがって、定期預金の預入期間が長くなるほどお金が拘束されるわけで、それに見合った上乗せ利率が設定されることになる。これが流動性プレミアム。
上記の例では
流動性プレミアム=5年定期金利−1年定期金利
(低流動性資産の収益率−高流動性資産の収益率)
になる。
流動性プレミアムについては他にも不動産や株主優待など通貨(日本円)へ即時換金することが難しい、あるいは利用先が制限されている商品への投資でも考えることができる。
(ちなみに流動性プレミアムは、言葉は違えど卒論でも概念は使ったし、考えとしては自分の中にはあったが実際に用語として存在しているのを知ったのはつい最近のこと。大学の授業で教えてたのかもしれないが覚えとらん・・。)
そもそもリスク計算できますか?
ここからが本題。
株式投資しかり社債投資しかり、リスク商品に投資してリターンを狙っていく限りはプレミアムを意識することになる。
ただ、ここで投資家の皆さんに聞きたい。
「何をもって利回りとリスクのバランスを判断してますか?」
と。
例えば、何故かここ数年で急に話題に上がった「み◯なのクレジット」とか「ク◯ウドクレジット」とかのソーシャルレンディング投資。
これらのサービスでは利回りが5%以上もある商品が多数用意されており、収益面ではかなり魅力的に感じると思うのだが、ネット上の反応を見る限り、どちらかと言うとネガティブなイメージを持っている人が多いと個人的に感じる。(アフィ目的の人とか情弱の人は除きます)
ただし、ネガティブな意見を持つ人の根拠を見てみるとリスクと設定されている利回りの妥当性(リスクプレミアム)に関するガチな分析をしている人はほぼ居なく、だいたいが「投資先が危なさそう」とか「怪しすぎる」とかそんなレベル。
ここで勘違いしないでほしいのは、分析しない人をディスっているわけではなく、自分も含めて分析出来ない方が普通だということ。
というのも、そもそもリスク計算というのは、金融商品の開発とか保険の料率設定とかで使うような高度な専門知識を持つ、いわゆる「その筋のプロ」が本格的行うことができるもので、一般人の素人が果たしてそこまでガチな分析ができるのかというと、当たり前だがほぼ何も出来ない。
教科書どおりにリスクをσ(標準偏差)の計算で出せる訳も無く、結局は一般人であれば、多少の読みはするものの、殆どは個人の主観や許容度に応じてリスク判断をしているだけで、ソーシャルレンディング商品の利回り(リスクプレミアム)が適正なのかの判断は出来ていないのが実情ということ。
残念ながらソーシャルレンディングサービス提供者側にいるプロには分析力では敵わない。(これが金融業が情弱騙しと言われる所以。情報を持っている人が持っていない人からお金を得るのが金融業。)
上記はソーシャルレンディングについてだが、リスクプレミアムが適正なのか分からないというのは不動産投資とか株式とか他の投資も同様ですね。(株なら財務諸表が読める分まだマシではあるが。)
リスク計算ができないなら流動性重視で良い
ではリスク計算と適正なリスクプレミアムの判断が出来ない一般人はどう投資方針を決めるのか?
これに対する持論(超個人的な考え)は流動性と流動性プレミアムの兼ね合いでリスク・リターンの判断をするというもの。
何を言っているのかよく分からないと思うので自分の投資先の実例と合わせて述べる。
◯株主優待投資
まず自分がメインで行っている株主優待投資のケース。
一部の投資家で株主優待目当てでの投資を批判的に見る人がいる。これは本来は配当金という現金で得られるリターンが株主優待に変わっているためにリスク・損失と捉えているから。
過去に当ブログへ頂いたコメントを参考に見る。
◯◯◯なんて配当と優待合わせたって利回り低いし、業績も悪い。
インカムゲイン目的に持つ株じゃないよね。
優待でタダ飯食ってるつもりが、実は高配当株で配当貰うのと比較して、高い値段で食事してるだけという現実。
上記コメントの赤字部分。
この方のご意見は至極ごもっともな内容であり、特段反感など一切持っていないという事を前置きにしつつ自分の考えを述べる。
まず上記の方は、株主優待を貰っている分、高配当株に投資をして配当金を貰ったほうが良いのでは?と考えている。
この指摘については同意しつつも根本的にリスク・リターンの考え方が自分とは異なっていることを説明したい。
日本の配当銘柄で4%も配当利回りがあれば高配当と判断されるが、株主優待銘柄では株主優待を金額換算した際の優待利回りが5%以上になる場合も多い。
というのも株主優待銘柄は基本的に流動性の低さ(株主優待は利用先が制限されている)から株主優待リターンには流動性プレミアムが加えられている。
この事情を考慮しても、上記の方は流動性の低さからたとえ流動性プレミアムを加えたとしても株主優待リターンの価値は配当リターンより低いと見積もっている。
■優待価値を低く見積もる
配当リターン>優待リターン(プレミアム含む)
一方で自分の場合は、当該株主優待は普段からよく行く店舗のものであり、ほとんど現金で支払う代わりに使っているため流動性の低さはさほど問題ではない。
したがって株主優待の額面が高ければその値段相応で価値を評価をし、流動性プレミアムを加えた優待リターンが、配当リターンより高ければ自分は良しとしている。
■優待価値を現金同等と見積もる
優待リターン(プレミアム含む)>配当リターン
要は株主優待を無価値(あるいは価値が減損されている)と見なすか現金同等の価値と見なすかの違い。
吉野家に行かない人が、いくら吉野家ホールディングスの300円株主優待券を貰ったとしても紙くず同然と判断するが、普段から吉野家に行く人にとっては優待券は300円そのままの価値があると判断するということ。
◯南アフリカランド外貨預金
次は自分が行っている南アフリカランドの外貨預金投資のケース。
南アフリカの通貨は為替変動が激しくリスク通貨と言われているが、その一方で定期預金の利率は6%もあり高金利で非常に魅力的。(プレミアムが高い)
ではなぜ皆さんそんな高利回りの南アフリカランド通貨に投資をしないのかというと、為替変動に加えて南アランド通貨の流動性の低さの問題がある。
例えばもしこれがアメリカドルであったらと考えてほしい。
米ドルであれば、仮に為替が大きく動いて円換算で損をしたとしても、米ドル建ての米ドル株式や債券の原資にしたり、あるいは場合によってはアメリカ領土(グアムやハワイ、アメリカ本土など)へ旅行に行った際に米ドルを引き出すということで損確定することなく利用することができる。(米ドル出金は下記記事を参照)
たとえ1ドル=120円から1ドル=80円になり為替損が出ようとも(日本円換算の評価が下がろうとも)、ドル通貨圏で使えは価値は同じ1ドル。
ただ、今回は南アフリカの通貨。旅行で訪れることもランド通貨で株投資することも一生無いと思われる。
上記に基づき従来自分はいくら金利が高くても(流動性プレミアムが高くても)、通貨が全く使えないリスクの方がデカイと判断していた。
使えないリスク>南アランド金利(プレミアム含む)
しかし今は違う。Sony Bank WALLETとagodaの組み合わせで南アフリカランド通貨のまま、資金を使うことが出来るようになった。(裏技については下記記事参照)
したがって、南アランド通貨で流動性プレミアムも含めた6%のリターンは自分の中ではリスク以上と判断を変えている。為替変動を恐れる必要が無くなったのでね。
南アランド金利(プレミアム含む)>使えないリスク
このケースでは直接的なリスク評価とそれに見合った適正金利(リスクプレミアム)の判断はせずに、金利の絶対値(流動性プレミアム含む)に対して、南アランド通貨が使えるか使えないかの価値判断(流動性判断)でリスクの間接的な評価をしている。
◯海外現地投資
最後に自分がマレーシア現地で行っている銀行と証券投資について。
マレーシアでは銀行定期預金は3%台で、証券であれば配当利回り6%台の銘柄はざらにある。(内容は下記記事を参照)
ここで日本に住んでいる人であれば、高利回りは魅力的に思うものの、海外口座を持つ事のリスクとそれに見合う投資価値(リスクプレミアム)があるのかの判断が出来ない。なぜならリスク計算が出来ないから。
自分の場合も同じくリスク判断は出来ないが、MM2Hという現地で暮らせるビザを保有しており、このお陰でマレーシア現地資産の流動性は一般の人よりも高い。(いざとなったら現地で生活をし、現地で預入資産を引き出して使うことができる。)
これによりマレーシアの高利回りを享受しつつもリスクの間接的な評価を行う事が可能となる。
海外投資リターン(プレミアム含む)>海外投資リスク
このケースも南アランド通貨の外貨預金と同じで、直接的なリスク評価とそれに見合った適正リターン(リスクプレミアム)の判断はせずに、海外投資のリターン(流動性プレミアム含む)に対してマレーシアの資産が使えるか使えないかでの価値判断(流動性判断)で間接的なリスク評価をしている。
流動性と流動性プレミアムの価値判断は個人が使えると思うか使えないと思うかだけ
長々と書いたが結論は簡単で、投資では得られるリターンが自分にとって価値があるものなのかどうかが重要ということ。
現金でなくても株主優待に現金相当の価値があるという人はそれで良いし、容易な現金化が不可能な不動産であっても、自己利用も含めて投資価値ありと判断する人はそれはそれで良い。
日本に住んでいる限りは日本円の現金が最も流動性が高くリターンとしては一番の理想であるが、仮にリターンが日本円以外であったとしてもそれ相応の追加リターン(流動性プレミアム)があり、また、それが個人的に価値あるものであると判断できるのであればそれだけで十分。
いちいちリスク相応のリターンなのかという判断は不要だし、そもそも一般人であればリスク評価は出来ない。