サクソバンク証券の口座を開いたので早速取引をしてみた。
Webもアプリも致命的に使いにくく、手数料がとても高くてキャリングコストという謎の費用が毎日発生するが日本円のみの取引になるのは一部メリット。
紹介していく。
この記事の目次
サクソバンク証券について
サクソバンク証券はデンマークに本社を置く金融グループ日本法人のオンライン証券会社。
CFDを中心に海外関連の商品に強みを持ち、米国株現物に関しては5,000銘柄以上を取り扱い、配当再投資(DRIP)にも対応と日系ネット証券よりかなり進んでいる。
2021年10月には特定口座にも対応している。
サクソバンク証券の米国株オプション
サクソバンク証券は日本の証券会社として唯一米国株オプションを提供しており、今回口座を開いたのもそれが目的。
米国株オプションを扱う他の証券会社はIB証券が有名だが、実は同社日本法人が提供する口座では対応していないため米国本国の口座を開く必要がある。従ってサクソバンク証券が唯一の日本の証券会社となる。
サクソバンク証券でオプション取引を行う際の特徴は次のとおり。
■特徴
1.注文は指値のみ
2.必要証拠金率20%~30%(銘柄による)
3.全て日本円で取引
4.取引費用:手数料$3/枚、取引所費用$0.3~(取引所による)
5.その他費用;為替手数料1%、キャリングコストLIBOR+1.5%/日
赤字にした部分が留意すべき点。
まず注文方法が指値注文に限定されているという部分。これは最初に注文する時には良いかもしれないが、その後の価格変動時に損切りまたは利確のためのストップ注文を入れることが出来ない。(損切り・利確ラインを定めた注文が出来ない)
次は取引が日本円のみという部分。サクソバンク証券が扱うのは日本円のみでドル通貨を口座内で保持が出できないため、取引毎に日本円へ両替をして精算が行われる。従ってその他費用に記載の為替手数料1%が毎回上乗せされてしまう。
一方で日本円のみの精算になるので税申告はシンプルだし、為替の影響を気にしなくて良いといメリットもある。
そして最後のキャリングコスト。これは限月のある建玉を持っているとその証拠金に対して銀行間金利+1.5%が毎日発生するというもの。かなり謎すぎる。
あとで実画面で紹介する。
実際にオプション取引をやってみる
実際の画面で取引の流れを紹介。
まずはオプション口座への入金。サクソバンク証券は即時入金に対応しているのでPC画面より手続きを行う。(アプリでは入金出来ない)
口座は取引目的別に分かれているのでPから始まるオプション専用口座を選択して入金する。
あとから口座間で資金を振り替えることも可能。
次に銘柄選択。
検索窓からティッカーシンボルを入力すると一覧が出てくる。現物株も表示されるので必要に応じて商品を絞ることも可能。
今回はAT&Tを選択した。
そして取引画面。
コールとプットで画面が分かれているので設定の上、ストライク価格を選択すると注文画面へ進む。
今回はプット売りを発注。
手数料の概算はここで確認できる。
約定後は現金収支明細で金額確認が可能。この時は別の取引もしているので合計金額で表示。
2つの取引で5,645円プレミアム収益を得て費用は683円。差引で4,962円の儲け。
金額をタップすると詳細を確認することができる。
手数料が高くて分かりにくい。キャリングコストという謎の費用もある
日本の証券会社で唯一米国株オプションを提供するサクソバンク証券だが手数料はとても高い。ぱっと見で分かりにくいので先程の実取引の内容で説明する。
取引明細の全体構成は①プレミアム収入-②取引手数料=③収支になっているが、これを細かく見ると次のようになる。
①収入 | ||
---|---|---|
プレミアム
|
約定価格:25ドル |
2,827円
|
為替:113.0837(手数料1%込み) | ||
内)変換手数料:-29円 | ||
金額:2,827円 | ||
②取引手数料 | ||
取引費用
|
費用:-3ドル |
-342円
|
為替:113.0837(手数料込み) | ||
内)変換手数料:4円 | ||
金額:-339円 | ||
取引所手数料
|
費用:-0.03215ドル | |
為替:113.0837(手数料込み) | ||
内)変換手数料:0円 | ||
金額:-3円 | ||
③収支 | ||
差引合計 | 2,485円 |
手数料項目は取引費用3ドル/枚と取引所手数料(取引所によって異なる)の2つだが、サクソバンク証券での取引は全て日本円に換算して精算されるので、この際に変換手数料1%が為替レートに上乗せされる。
明細ではこの手数料込みのレートが表示されており、実際に幾らであったかは内訳として記載される。支払費用に対しても手数料込のレートが計算に使われるが、この場合は1%分が費用から控除される。
以上が取引時に発生する精算。
一方でサクソバンク証券は限月のある建玉を保有するとキャリングコストという独自の費用が徴収される。
費用はLIBOR+1.5%の年利が建玉の必要証拠金に対して日次計算され、1ヶ月分をまとめて精算する。
現金収支の明細となぜか金額が合わないと思ったら、このキャリングコスト分が未記帳の手数料として差し引かれていた。
非常に分かりにくい。
日本円取引はメリットになる
謎の費用を含めて手数料が高く使いにくいサクソバンクだが、日本円に都度換算されるからこそのメリットがある。それは取引ごとに為替レートの記録をしなくて良いという点。
例えばIB証券であれば米国株オプションは米ドルのみを使って取引するが、この場合取引のたびにレートを記録し、確定申告の際には各取引を日本円換算した金額で税金の精算をしなければならない。
この時、取引時から更にレートが動けば税金分を日本円に戻す際にややこしくなる。
一方のサクソバンク証券であれば最初から得られる収益は日本円のみになので為替レートの記録は不要で儲けた金額はそのまま納税に使えて非常にシンプル。
オプション取引の確定申告は総合課税の雑所得
最後に確定申告について。
「サクソバンク証券は日本の証券会社なので米国株オプション取引で得た収益は税率20.315%の申告分離課税」
といったような説明をネット上でたまに見るがこれは誤りだと思う。というのもオプション取引はデリバティブ取引の一つだが、金商法では取引場所に応じて次の3つに分類されている。
①市場デリバティブ取引
②外国市場デリバティブ取引
③店頭デリバティブ取引
このうち今回の米国株オプションに関しては米国市場で取引される内容なので③外国市場デリバティブ取引に該当する。
一方で雑所得でも申告分離課税として特例で扱うことのできるオプション取引のケースは国税庁の案内だと①市場デリバティブ取引または②店頭デリバティブ取引しか言及していない。
従って日本の証券会社が提供するオプション取引と言っても日本市場で取引されているわけではないため、税金は雑所得の総合課税で行うのが正しいというのが個人的な見解。
完全に素人の個人的な考えであり誤っている可能性も高いので、正しい見解は有資格者または税務署職員から得てください。
以上です。
コメント
米株オプションでも日本の証券会社扱いのものは「市場デリバティブ取引」。