【あの柴犬のCM】業績絶好調のサムティから配当金が振り込まれた。でも新株予約権無償割当で株価はダウン!これはひどい

総合不動産会社のサムティより配当金が振り込まれた。

一部の人には社名を連呼する柴犬のCMで馴染みがあるかもしれない。

そんなサムティについて、去年実施した増資対応がかなりヒドかったので今更ながら愚痴を述べたいと思う。

柴犬のCMで有名なサムティ

サムティは総合不動産事業を手がける企業。

2017年からマスコットキャラクターの柴犬まる君が様々な場所で「サムティ」を連呼するというCMを放映しており、このおかげで同社の社名を聞いたことがあるという人もいるのではないかと思う。

■超ローカル企業感満載のCM

サムティは関西を拠点に不動産開発を行う会社だが、従来より東京でビジネスホテルを運営するなど関東での事業基盤も保有している。

今では地方支店の開設と東京本社の設立(東京支店からの格上げ)を行い、大阪と東京の2本社と札幌、名古屋、福岡の3支社体制で全国をカバーしている。

配当金入金実績と過去の配当推移

サムティは年1回の期末配当を実施している。

今回受領したのは11月末権利確定の2月末期振込分。

入金実績は300株保有で税引き後16,256円となった。

■配当実績

・保有:300株
・配当:68円
・入金:16,256円(税引き後)

配当は業績の拡大に伴い毎年上がり続けており、初めて権利確定をした2011年当時と比べて1単元配当額が1,200円から6,800円へ5.6倍にも上昇している。

非常にありがたい。

直近5年の配当推移(1単元当たり)を見ると次のようになる。

■配当推移
年度 1単元配当 配当性向 増配率
19年(予想) 7,500円 31.7% +10.3%
18年 6,800円 24.0% +44.6%
17年 4,700円 20.1% +29.4%
16年 3,300円 16.8% +50.0%
15年 3,300円 16.2% +0.0%
14年 2,200円 20.3% +42.4%

※15年度は300円の記念配当を実施

非常にアグレッシブな増配を続けているが配当性向はまだ30%未満。

参考までに高配当&連続増配銘柄で大人気のJTを見ると配当性向は69%もある。それと比べるとまだまだサムティは上昇の余地がある。

でも、騙しIRと増資発表でやられる

業績・株価・配当ともに申し分のないサムティだったが「ちょっとこれはどうなの?」と思うようなIR発表と直後の増資(新株予約権発行)を行って物議をかもした。

時系列でまとめると次のようになる。


■2018/8/29発表

(内容)業績予想の修正と52円→96円への大幅な配当予想の増額修正。株価は急騰。

■2018/9/18発表

(内容)新株予約権発行による増資と増資に伴う96円→64円への配当予想の減額修正、および株主優待制度の適用保有株数の変更。そして株価は暴落。


ことの発端は業績予想の修正にともなう増配発表だった。この時は当初予想52円から96円へ大幅な配当予想の修正を発表し株価を大きく吊り上げた。

だが、それから1ヶ月もしないうちに今度は新株予約権の発行による増資を発表し、それに合わせて増額発表をしたばかりの配当予想を今度は減額修正して更には株主優待制度の適用条件も現行株数+100株へと改悪した。

従来200株保有でホテルの宿泊優待券が貰えていたのだが、変更後は300株が必要になり、200株保有者が引き続き株主優待を得るには新株予約権を行使しなければならないという状況になった。

このように増配の発表で株価を上げ、その直後に増資と優待制度変更を行って一定株数保有層の狙い撃ちで新株を売りつけている。

幸いにも自分はサムティは300株を保有していたので影響は特に受けず、新株予約権も市場で売却して利益を得られている。

それでも希薄化懸念により株価は大きく下がったままになっている。

このやり方は結構悪質だと思う。

新株予約権無償割当(ライツ・オファリング)とは?増資手法の1つ

せっかくなので新株予約権についてまとめておく。

今回サムティが実施した新株予約権の発行は3つある増資手法の1つ。

それぞれ説明する。

①公募増資

まずは公募増資。

これは増資をする際に購入希望者を公募で募り、不特定多数の投資家に新株を買ってもらうというもの。

基本的には新株の購入者は割安で株式を入手することが出来るが、既存株主は1株あたりの利益悪化(希薄化)と株式が増える事での需要悪化により株価下落の影響を受ける。

②第三者割当増資

次は第三者割当増資。

これは特定の第三者に対して新株引受権(新株に出資する権利)を割り当てるというもの。

このケースでは既存株主保護の観点で法律により実施までの各種手順が定められている。

特に特定の第三者との間で有利な価格で取引を行う場合は株主総会において特別決議を経ることが求められる。

③株主割当増資

最後が株主割当増資。

これは特定の第三者ではなく既存の株主に対して株数に応じた新株引受権を割り当てるというもの。割当を受けた株主は権利を行使して新株に出資をするか、あるいは行使せずに権利を消滅させるかを選択できる。

保有株数に応じた割当となるため、株主構成比率に影響が出ない増資手法となっている。

そして今回の新株予約権無償割当(ライツ・オファリング)は株主割当増資の一種で、既存の株主に対して「株式を定められた価格で購入できる権利(新株予約権)」を無償で割り当てるという内容になる。

この新株予約権は一定期間取引所に上場するため、割当を受けた株主は上場市場にて自由に売買を行うこともできる。

このように新株予約権無償割当は株主側に選択肢が多く、比較的メリットのある増資手法となっている。

■割当てられた新株予約権

新株予約権無償割当は権利期間終了後の扱いによって呼び方が異なっている。

期間終了後に余った新株予約権をそのまま消滅せるタイプは「ノン・コミットメント型」と呼ばれており、一方で権利行使がされなかった分は主幹証券会社が買い取って代わりに権利を行使するというタイプは「コミットメント型」と呼ばれている。

今回のサムティのケースでは一定数までは主幹証券会社が権利未行使分を買い取るという「一部コミットメント型」で実施されている。

何事も勉強ですね

普段ニュースとかで第三者割当増資などのワードを耳にするが、実際に内容を知っているかと言えば今まで詳細は知らなかった。

そんな中、サムティの増資をきっかけに今回の自分で調べていろいろと理解することが出来た。

何事も勉強だなと思った。

あとは、新株予約権は割当後すぐに売ったほうが良いというのも今回学んだ。サムティのケースでは割当後しばらく様子見をしていたため、当初6万円で売れたものが3万円まで値下がってしまった。

期限を過ぎたら無価値になるのだから価格が下がっていくのは当たり前だよなと後で気づいた。

もし別の銘柄で割当を受けたらぜひともリベンジしたい。

以上です。