松井証券が貸株サービスを開始した。最低金利は業界最高水準0.20%!でも実は残念なサービスだった・・

松井証券が貸株サービスを始めた。

従来は預株という内容でサービスを提供していたが、2018年10月20日より貸株サービスとしてリニューアルを行った。

最低金利は業界最高水準の0.20%!と案内がされているが、実際に調べてみると全く使えない内容だと判明した・・。

残念すぎる。

貸株サービスとは?

貸株サービスについてご説明。

貸株サービスとは、保有する株式を証券会社へ貸出し、その対価として貸出残高に応じた金利を貰うというサービス。

証券会社側は、借りた株を機関投資家へ又貸して金利を受け取っており、貸株サービスではこの一部がサービス申込者に還元されている。

■貸株サービスと銀行預金

  • 申込者→(①貸出)→証券会社→(②貸出)→投資家
  • 申込者←(④金利)←証券会社←(③金利)←投資家

銀行へお金を預け、預金残高に応じて利息が貰えるというのと同じ。(貸株だと元本保証はないけど)

貸株サービスを提供するネット証券会社

貸株サービスは多くのネット証券会社で提供されているサービス。

基本的な仕組みはどこも同じではあるが、金利の支払いタイミングや信用取引口座との併用可否の部分でルールが若干異なる。

■貸株サービス比較
会社名 最低金利 金利支払日 信用口座との併用
SBI証券 0.10% 翌月15日
楽天証券 0.10% 翌月第2営業日
マネックス証券 0.10% 翌月10日 不可
GMOクリック証券 0.10% 翌月20日
カブドットコム証券 0.10% 翌月第2金曜日の翌営業日

どの会社も貸出銘柄の評価額に応じて最低0.10%の金利が付くが、金利の支払日は翌月月初から月末までと各社異なっている。

またマネックス証券では信用取引口座との併用は認められていない。

松井証券も貸株サービスを開始。預株サービスとの違いは?

松井証券も従来の預株と呼ばれていたサービスを廃止し、2018年10月20日より貸株サービスを開始した。

■預株と貸株サービス
サービス名 内容
預株 実際に貸借が発生した場合に金利が得られる
貸株サービス 貸借の発生を問わず、一律金利が得られる

今までの預株では、実際に貸借が発生した銘柄のみに金利が発生し、その利率も非公開であったが、貸株サービスでは全申込銘柄に必ず最低0.20%の金利が付くようになった。

■貸株サービス
会社名 最低金利 金利支払日 信用口座との併用
松井証券 0.20% 翌月第1営業日 不可
SBI証券 0.10% 翌月15日
楽天証券 0.10% 翌月第2営業日
マネックス証券 0.10% 翌月10日 不可
GMOクリック証券 0.10% 翌月20日
カブドットコム証券 0.10% 翌月第2金曜日の翌営業日

マネックス同様に信用取引口座を開設していると貸株サービスが申し込めないという制約はあるが、松井証券の貸株サービスでは他社と比べて最低金利が2倍ということで個人的に「これはすごい!」と最初はなった。

よく調べるとかなり残念なサービスだった

松井証券の貸株サービスは何が残念なのかというと「貸株サービス対象銘柄が極端に少ない」という点。

各社貸株サービスの対象銘柄にはいつくか条件があるのだが、松井証券では次のような説明がされている。

4.取扱銘柄

以下を除く各市場に上場する国内株式や上場投資信託等のうち、当社が指定する銘柄が対象です。

・松井証券(8628)
・外国株(国内取引所上場ETF含む)
・インフラファンド
・ベンチャーファンド
・ETN(上場投資証券)
・単元未満株
・その他、現物取引の非取扱銘柄

松井証券貸株サービスの案内ページより

これだけ見れば、個別株についてはあまり制約が無いように思われるが、実際に対象銘柄を調べてみると「当社が指定する銘柄」が極端に少ない事が分かる。

今現在楽天証券へ貸し出している銘柄を全部松井証券でチェックをすると次のようになった。

■貸株金利比較(11月金利)
銘柄 楽天証券 松井証券
GMO AP 0.10% 対象外
ランシステム 0.25% 対象外
ビックカメラ 0.10% 対象外
すかいらーくHD 0.10% 対象外
クリレスHD 0.10% 対象外
丸千代山岡家 0.10% 対象外
コメダHD 0.10% 対象外
明光ネットワーク 0.10% 対象外
ゼンショーHD 0.10% 対象外
コロワイド 0.10% 対象外
東急レク 0.10% 対象外
吉野家HD 0.10% 対象外
大戸屋HD 1.00% 2.00%
ペッパーFS 2.00% 2.00%
サムティ 0.10% 0.20%
アトム 0.10% 0.20%
イートアンド 0.10% 0.20%

なんと保有17銘柄中12銘柄が松井証券だと貸株サービスの対象外になっていた。

いくら「最低金利0.20%!業界最高水準!」と言われても、これだけ対象外が多いと全く意味がない。

残念過ぎる。

株式移管をする前にぜひご確認を!

松井証券の案内を見てすぐに楽天証券から株式移管をしようと思ったが、金利が増えるどころか対象外銘柄が増えて収入が減ってしまうところであった。

サービスの案内を見て気になった人は事前に保有銘柄の金利をチェックした方が良い。

■金利確認

楽天証券だとログイン前の案内ページでも各銘柄の金利は確認できるが、松井証券の場合はログイン後でないと確認が行えないので要注意。

サービスが始まったばかりなので対象銘柄が少ないのかも分からないが、いま現時点では全く魅力の無いサービスとなる。

貸株サービスは積極的に活用すべき

松井証券の貸株サービスは現時点では全く使えない状態だが、他社を含めて貸株サービス自体はぜひとも活用すべきサービスだと思う。

自分は長いこと活用を設定をしているが、現在は対象銘柄1,000万円程を貸出して、毎月4〜6千円の金利収入を受け取っている。

■金利入金実績
入金実績
201801 4,012円
201802 5,146円
201803 3,834円
201804 6,382円
201805 6,301円
201806 4,926円
201807 3,399円
201808 5,818円
201809 5,285円
201810 4,827円
合計 49,930円

今年は既に5万円近くが得られた。

従来の配当や株主優待に加えて、これだけ新しい収益が得られるというのは非常に有り難い。

一応、金利収入が雑所得になることや、配当調整額を受取ると二重課税状態になること、貸株「金利が高い銘柄=値下がる可能性が高い銘柄」という意味であることなど、諸々知っておくべき事は多いが、それを踏まえた上でも新たな投資収益源を生み出してくれる貸株サービスはとても魅力的だと思う。

気になった人はぜひ調べて見てください。

以上です。