保有する株を貸し出して、金利収入を得る貸株サービスって使ってますか?
配当狙いで長期保有の投資スタイルを採用している人も多いと思うが、どうせそのまま置いておくなら貸株サービスを使って少しでも稼いだ方が良いと思っている。
特に含み益状態でも売らないと決めている人であれば、貸株を使うことで含み益分も含めて収益化できるので効率的な運用が可能。
貸株とは?
貸株とは保有株を証券会社に貸し出し、株の評価額に応じて金利を受け取るサービス。銀行の定期預金をイメージすればわかりやすい。
銀行ではお金を預けると預入額に応じて金利が貰えるが、貸株では証券会社へ株を預けて、株評価額に応じた金利が証券会社から貰える。しかも利率は0.1%〜と銀行よりも断然良い。
貸株サービスを実施している会社は主要ネット証券会社。
会社名 | 金利1%以上の銘柄数 |
---|---|
SBI証券 | 100~400銘柄程度 |
楽天証券 | 450銘柄以上 |
マネックス証券 | 最高0.5% |
GMOクリック証券 | 718銘柄以上 |
カブドットコム証券 | 200銘柄以上 |
松井証券 | 制度が異なる |
金利は定期的に見直されるが、各社0.5%以上のボーナス金利を設置している銘柄もあり、その設定数は会社ごとに異なる。
また松井証券のみ預株というサービス名称で制度が若干異なっており、必ず金利が発生するわけでは無い。
実際にどれだけ貰えるの?
現在自分の日本株運用額1500万円のうち、NISA口座分を除く約1000万円相当をGMOクリック証券に預けて貸株設定をしている。(NISAは貸株対象外)
直近の金利は下記。
銘柄 | 金利 10/16 |
---|---|
大戸屋HD | 1.00% |
ペッパーFS | 1.00% |
すかいらーく | 1.00% |
サムティ | 1.00% |
フリービット | 1.00% |
東急レク | 1.00% |
ランシステム | 0.50% |
ビックカメラ | 0.10% |
クリレスHD | 0.10% |
明光ネット | 0.10% |
サムコ | 0.10% |
アトム | 0.10% |
ゼンショーHD | 0.10% |
コロワイド | 0.10% |
モリト | 0.10% |
吉野家HD | 0.10% |
そして毎月の金利収入はこちら。
入金日 | 金利収入 |
---|---|
2017/01/20 | 1,331 |
2017/02/20 | 1,614 |
2017/03/17 | 1,674 |
2017/04/20 | 1,313 |
2017/05/19 | 1,546 |
2017/06/20 | 1,952 |
2017/07/20 | 2,041 |
2017/08/18 | 3,036 |
2017/09/20 | 2,615 |
配当・株主優待権利の取得のため一部登録解除をしたり、意図的に貸株設置をしていない銘柄もあるが、毎月1000円〜3000円の金利収入が得られている。
貸株は株の損益状態に関わらず金利が貰える
上記のように貸株は証券会社へ貸し出した銘柄の評価額に応じて金利が貰える。
従って保有している株が評価損状態であろうが、含み益状態であろうが関係は無い。
これの何が良いのかと言うと、例えば保有している銘柄が元本割れしてしまうと、株価が戻るまで保有し続けるいわゆる「塩漬け状態」にする投資家もいると思うのだが、そのまま貸株に出してしまえば、含み損状態であっても一定の金利は生み出してくれる。
また、一方で評価益状態の株を保有している人にとっても貸株はメリットがある。
評価益は利益確定して実現化させるまでは単なる画面上の数字でしかなく、いくら評価益が増えたからと言っても現実では特に意味のない数字。
ただ、もしここで貸株に登録しておけば評価額に対しての金利収入が得られるため、含み益分を含めて収益を実現化することができる。
言いたいことがよくわからないと思うので具体的にはこんなイメージ。100万円の株が400万円になったケースを例にする。
購入時 | 評価額 | 増減 | |
---|---|---|---|
株価 | 100万円 | 400万円 | +300万円 |
配当金(固定) | 2万円 | 2万円 | ±0円 |
配当利回り | 2.00% | 0.50% | ▲1.50% |
配当金の場合は銘柄によっては若干の増減はあるものの、評価額に関係なくある程度一定の金額が振り込まれる。
従って上記の例で含み益が300万円あったとしても配当金が増えるわけではなく、含み益分を売却するまでは株高の恩恵は得られない。
購入時 | 評価額 | 増減 | |
---|---|---|---|
株価 | 100万円 | 400万円 | +300万円 |
貸株利率(固定) | 0.1% | 0.1% | ±0% |
金利 | 1,000円 | 4,000円 | +3,000円 |
一方の貸株であれば、配当金と違って貸株利率は固定になるため、株高になればその含み益分にも利率がかけられ、貸株金利として実現収益化することが出来る。
今回の例で見れば、含み益300万円に対して0.1%の利率がかけられ、3000円分の金利収入増分が株高の恩恵として得られる。
このように形で含み益が出てても売らないというスタンスの人であっても、評価額が増えた分も含めて効率的に収益化する事が可能になる。
貸株の注意事項はいくつかある
メリットの多い貸株だが、デメリットももちろんあるのでいくつか列記する。
証券会社・貸出先が倒産したら戻ってこない可能性がある
貸株は証券会社へ株を貸し出すのだが、その証券会社、あるいはその先の貸出先が倒産した場合、貸し出した株が戻ってこない可能性がある。
貸株で預けた株は法的制度の保護対象に含まれておらず、また貸株の申し込みの際には無担保の消費貸借契約を証券会社と結ぶ形になるため、万が一の事が起きた時は保護を受けることも担保を得ることもできない。
証券会社の信用度を見極めて自己責任で申し込み必要がある。
貸株金利は雑所得
貸株で得られた金利収入は雑所得として税申告が必要になる。
この場合年間20万円を超えない範囲であれば申告不要ではあるが、もし申告対象に該当する場合は総合課税が適用される。
年収によっては本業の税率が大きく上がってしまうケースもありうる。
配当金調整額の二重課税
株を貸し出したまま権利確定となると、証券会社側に配当権利が渡ってしまうため、貸株金利とは別に配当金調整額という形で証券会社からお金を貰うことになる。
この金額は本来得られたであろう配当金相当なので、税引き後の配当金相当額になっている。それにも関わらず、配当金調整額は貸株金利収入と同じく雑所得となるため、追加で税申告が必要になってしまっている。
税引き後配当相当額に対してさらに税金が取られるので完全に二重課税状態。
現在はどの貸株サービス提供会社でも自動権利取得機能があるので、滅多にこのような事は起きないと思われるが、事象としてはあり得なくは無い内容。
何だかんだで良いサービス
事前に把握しておかないといけない項目もいくつかあるが、貸株は投資家にとって画期的なサービスだと思っている。
従来は信用口座で貸株が出来なかったり、貸株設定をしていると株の売却が出来なかったりしていたのだが、今はそのような制約は無くなっている。
またSBI証券では日本株のみならず、米国株貸株サービスも始めており貸株サービスの拡充が進んでいる。
■米国株貸株サービス
貸株は売買収益と配当収益に続く新たな投資収益を生む内容として、誰でも積極的に活用できるお得なサービスだと思っている。
まだ登録していない人はぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか?
以上です。