米国株のオプション取引で今年は税引前で約107万円の収益を得た。
いろいろ学んだことも多いので振り返ろうと思う。
取引実績
まずは2020年の月別取引実績。年間合計134回の取引で合計107万円のプレミアム収益を得た。
運用原資は米ドルと現物株を合わせて6月までが約800万円分でその後資金追加などを経て現在は約1,200万円分で行っている。
取引 | 内)プット取引 | 内)コール取引 | ||||
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回数 | 金額 | 回数 | 金額 | 回数 | 金額 | |
1月 | 8回 | ¥110,143 | 8回 | ¥110,143 | 0回 | ¥0 |
2月 | 9回 | ¥97,867 | 7回 | ¥85,022 | 2回 | ¥12,845 |
3月 | 11回 | ¥43,188 | 4回 | ¥26,814 | 7回 | ¥16,374 |
4月 | 9回 | ¥38,529 | 3回 | ¥20,720 | 6回 | ¥17,809 |
5月 | 9回 | ¥21,163 | 4回 | ¥11,846 | 5回 | ¥9,317 |
6月 | 10回 | ¥38,307 | 5回 | ¥19,630 | 5回 | ¥18,677 |
7月 | 16回 | ¥75,771 | 9回 | ¥53,297 | 7回 | ¥22,474 |
8月 | 8回 | ¥52,354 | 1回 | ¥9,608 | 7回 | ¥42,746 |
9月 | 15回 | ¥278,368 | 11回 | ¥204,662 | 4回 | ¥73,706 |
10月 | 9回 | ¥105,055 | 4回 | ¥55,646 | 5回 | ¥49,409 |
11月 | 9回 | ¥68,963 | 3回 | ¥5,804 | 6回 | ¥63,159 |
12月 | 21回 | ¥145,984 | 5回 | ¥31,678 | 16回 | ¥114,306 |
年合計 | 134回 | ¥1,075,692 | 64回 | ¥634,870 | 70回 | ¥440,822 |
上記のうちアサイン(読みが外れて株を買うこと)になった件数は19件でその後の取引結果は次のようになった。
アサイン | 19件 | |
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内)継続保有 | 6件 | |
内)売却済
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利確 | 12件 |
損切り | 1件 |
基本的にアサインされても配当を貰い続けるのだが、損切りした1件は試してみたかったことがあり、アサインされた株がショートポジションになったので配当金相当の支払いを避けるために損切りした。
自分は非常にシンプルな取引のみを行っている
自分が行っているオプション取引は非常に初歩的なものでとてもシンプルな内容。
まずはオプション取引について簡単に説明すると、オプション取引とは特定の価格で株を売るor買う権利を売買し、その際に権利の代金であるプレミアムを得たり支払ったりするというもの。
具体例を挙げると、評価額100ドルの銘柄を持っている人が80ドルでその株を”売る権利”を買ったとする。その後大暴落が起きて仮に10ドルまで値下がったとしても保有する”売る権利”を行使し、80ドルで売り渡すことで損失を緩和することが出来る。
一方の”売る権利”を売った側は最初に権利の代金であるプレミアムを受け取ることができるが、権利行使された場合には価格が10ドルまで下がった株であっても80ドルで権利行使者から株を買取らなければならないというリスクを負う。これが売る権利であるプットオプションの取引。
これとは逆に株価がいくら値上がりしようとも指定価格で対象銘柄を”買う権利”を持っていれば安く株を手に入れることが出来る。この買う権利をコールオプションという。
これらを組み合わせて自分は次のような手順で取引を行っている。
手順①:プットオプション売り
ある銘柄について、株価が下落しても特定の価格で売るという権利を売り(プットオプションを売り)プレミアムを貰う。事前に買い取れるだけの手元キャッシュは全額用意しておく。
(分岐1)満期時に株価が保証価格まで下がらなければ、ポジションは自動で解消されて取引は終了する。この場合は手順①を繰り返してプレミアムを得る。
(分岐2)満期時に株価が保証価格以下に下がれば、権利が行使され銘柄を買い取ることになる。この場合は手順②へと進む。
手順①の収益:プレミアム
手順②:コールオプション売り
手順①で買い取った銘柄についていくら値上がりしても必ず一定の価格で株を買えるという権利を売り(コールオプションを売り)プレミアムを貰う。この時の権利行使価格は取得価格以上の株価を指定し、インカムゲインも同時に狙う。
(分岐1)満期時に価格の上昇が起こらなければ、ポジションは自動で解消されて取引は終了する。この場合は手順②を繰り返してプレミアム or インカムゲインを得る。
(分岐2)満期時に価格の上昇が起これば、権利が行使されて現物を売り渡すことになる。この場合はキャッシュを得て手順①へ戻る。
(分岐3)満期時に価格が更に下落し、ポジションは解消されたものの取得価格以上の指定ではプレミアムがつかなくなる事がある。この場合は手順③へ進む。
手順①の収益:プレミアム、売却益、配当金
手順③:配当目的での現物保有 or 損切り
塩漬け銘柄として配当金を貰いつつ株価の上昇を待つ or 損切りをしてリセットする。仮に株価の上昇が見込めるのであれば手順②へ戻る。
手順③の収益:配当金
実際の取引事例だとこんな感じ。
取引日 | 銘柄 | 取引額 |
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10/14 | 23OCT20 200.0 Put | +$143.91 |
10/23 | 現物買 | -$20,000 |
11/9 | 13NOV20 215.0 Call | +$349.34 |
12/1 | 配当 | +$28.80 |
12/4 | 11DEC20 217.5 Call | +$88.9 |
12/15 | 18DEC20 210.0 Call | +$119.91 |
12/18 | 現物売 | +$21,000 |
上記は手順①で権利行使価格200ドルのVisaプットオプションを売ってプレミアムを受け取ったのが最初の取引。
その後200ドル以下まで下落したため2万ドル(200ドル×オプション単位100株)で現物を買うことになった。
現物取得後は手順②の内容にて権利行使価格を200ドル以上に設定し、コールオプションを何度か売っている。最終的には指定価格210ドル以上に値上がったため2.1万ドルで現物株を売却した。
この一連の取引では配当金受領も含めて次の収益が得られた。
■一連の取引で得た収益
①プレミアム:702.06$
②配当金:28.8$
③売却益:1,000$
合計:1,730.86$
プット売りは勝率が高いがコツコツドカンが怖い。その他にも注意すべき点がある
オプション取引を始めてからいろいろ学ぶことがあったのでその中のいくつかを紹介したい。
コツコツドカンを意識して全力はやめるべき
プット売りは勝率が高くかつ現金が先に手に入るということで取り組み易い取引となるが負ける時には大きな含み損を抱えて身動きが取れなくなる可能性がある。
例えば上記はVisaのチャートだが2/13に213ドルへ達した後、コロナショックで3/23には135ドルまで急落している。幸い9月には株価は最高値まで戻っているが、それまでの間はコール売りに切り替えることも出来ず、ただ配当を貰いながら回復を待つのみとなる。
オプション取引では資金の分だけ安全にプット売りが行えてしまうため、満期になるたびに売りポジションを立てて結果として全資金をオプションの原資に回してしまう可能性がある。そうなると市場全体が暴落した際に身動きが取れなくなる。
現物株を買う場合も同じかもしれないが、株取引であれば同じタイミングで全力投下するということはあまりないと思うのでオプション取引においてはより一層の資金管理が大事になる。
高配当銘柄のカバードコールはあまり有効ではないことも
現物株を保有しながらコール売りを行う取引はカバードコールと呼ばれており、プット売り後に株価が下落し現物株がアサインされた際にはカバードコールへ切り替えることが有効な手段となる。
この時、現物株が高配当銘柄であれば配当を得ながらもコール売りによるプレミアム収益で利回りを高められると考えてしまいがちだが自分の経験上うまく行くことは少なかった。
上記は高配当銘柄AT&Tのチャートだが40ドル前後で推移していた株価はコロナショック時に大きく下げたのち回復することなく30ドル前後を行き来している。
こうなると急落前にアサインされた場合はカバードコールが行えないまま現物保有するしかなく、また幸い急落後にアサインされた場合であったとしても株価の変動が少ないため取得価格以上の権利行使価格ではコール売りの値が付かないということも起こりうる。
高配当銘柄はもともと株価が下がってしまっている場合が多いのでこのようなことが起こりうる。これであれば配当が少なかったとしても先程のVisaの方がカバードコールは行いやすい。
習うより慣れろのスタンスで頑張ります
まだ基本的な取引しか行っていないが、オプションには様々な戦略があるので習うより慣れろのスタンスで少しずつ取り組んで行きたいと思う。
幸いネット上には無料で分かりやすい情報がまとめてあったりするので上手く活用できればと思います。
例えばこんなのとか 「25の定番戦略 ―CMEグループの先物オプションを利用する―」
以上です。