先日、マレーシアCIMB銀行よりシンガポールとマレーシア間の銀行サービスを拡充したと発表があった。
具体的にはシンガポールとマレーシアのネットバンキングが共通で使えたり、両国間の資金送金や銀行を使った料金支払いがスムーズに行えるようになったといった内容。
その中でも注目したいがシンガポールの銀行口座サポート。
シンガポールへ行かなくとも銀行口座の開設が可能になるとのこと。
本当にできるのか今まさに検証中だが、一旦ご紹介したい。
この記事の目次
海外間取引サービスの拡充
先月マレーシアCIMB銀行より発表された内容は次のとおり。
長いので一部抜粋にしている。
CIMB enhances Malaysia-Singapore cross-border banking for customers
Suite of solutions offer convenience, preferential forex rates and fee-waived fund transfers1
Kuala Lumpur: CIMB Bank Berhad and CIMB Islamic Bank Berhad (“CIMB”) have introduced the Cross-Border Solutions, which enables customers with CIMB accounts in Malaysia and Singapore to enjoy seamless and efficient cross-border banking experience.
CIMB’s Cross-Border Solutions cater to any customer living in Malaysia or Singapore. With their CIMB conventional or Islamic accounts in both countries, they are able to conduct cross-border banking seamlessly between Malaysia and Singapore, providing the ultimate convenience for transactions like fee-waived fund transfers, preferential forex rates for online transfers and bill payments.
CIMB:プレスリリース(https://www.cimb.com/en/news/news/2018/cimbs-enhanced-mobile-banking-app-eva-helps-customers-make-smarter-financial-decisions1.html)より抜粋
まとめると次のようになる。
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- シングルログイン
両国のネットバンキングシステムが統合され、1つのIDで使えるようになる。
- シングルログイン
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- 送金手数料免除
両国間の海外送金手数料が免除になる。
- 送金手数料免除
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- ATM引出手数料免除
ASEAN域内の自社ATM利用時は現地通貨引出手数料が免除になる。
- ATM引出手数料免除
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- 為替レートの最低保証とキャッシュバック(2018年限り)
海外送金時のMYR⇒SGD為替レートが他行より高かった場合、キャッシュバックが申請が出来る。
- 為替レートの最低保証とキャッシュバック(2018年限り)
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- 料金支払い機能
ネットバンキングを使った料金払いが600以上の契約先で使える。
- 料金支払い機能
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- 銀行口座開設の簡易手続き
シンガポールの口座開設手続きがマレーシアの主導にて行える。
- 銀行口座開設の簡易手続き
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- リレーションシップマネージャー
ASEAN域内の支店に配置されたリレーションシップマネージャーが各金融サービスのサポート窓口となる。
- リレーションシップマネージャー
この中でも着目したいのが赤字にした銀行口座開設の部分。案内文では次のように書かれている。
“Ease of account opening. The opening of CIMB Singapore account can be facilitated in Malaysia.”
どこまで”faciliated”してもらえるのか分からないが、マレーシアにてシンガポールの口座開設手続きが行えると読み取った。(英語って難しい・・)
実は従来より提供されているサービス
正直な事をいうと今回発表されたサービスのほとんどは、以前より提供されている内容になる。
例えばシンガポールとマレーシアの統合されたネットバンキングは前から一部存在している。
またASEAN地域の自社ATMを使えば、手数料無料で現地通貨が引き出せるというのも既に検証済。
そしてマレーシア国外の銀行口座開設も、従来よりマレーシア担当者に依頼をして進める事ができた。
過去同様のサービスを使ってタイの銀行口座を開設している。
■タイの銀行口座開設
そんな事で今回着目したシンガポールの銀行口座開設に関しても、従来と全く同じサポート内容である可能性が非常に高い。
ただ、その一方でわざわざプレスリリースにて”enhance(拡充)”と発表しているぐらいなので、もっと踏み込んだサポートをしてもらえるとも考えられる。
マレーシアへ行くついでにシンガポールの口座開設手続きを試してみる
ちょうど4月に休暇を兼ねてマレーシアへ訪れる計画を立てていた。
タイミングが良かったので今回発表されたサービスを使い、シンガポールの口座開設を試してみることにした。
今まさにやり取り中で、流れは次のとおり。
①リレーションシップマネージャーへ依頼
CIMBの海外口座開設手続きは一定の預金額以上を預けたPreferred会員しか行う事が出来ない。
そしてPreferred会員になるとリレーションシップマネージャーと呼ばれる担当者が付くので依頼はその人経由で行うことになる。(要はHSBCプレミアのパクリ)
今回は自分の担当者へメールで相談するところから始めている。
②申込書受領・記入してメールで送付
海外口座の手続きはASEAN Financial Passport(AFP)と呼ばれる申請書を記入して申し込む。ファイルはリレーションシップマネージャーからメールで貰える。
必要事項を記入後、書類をスキャンしてマレーシアのリレーションシップマネージャーへメールで送る。そうするとシンガポールの担当者へ引き継ぎがされる。
③シンガポールの担当者から連絡
書類を送って数日経つとシンガポールの担当者から連絡が来る。
あとは日程の調整をして現地で手続きをするだけ。
↑
と、手続きは進んだのだがこれだと従来の方法と全く同じ・・・。
自分がやりたかったのはシンガポールへ行くこと無くマレーシアで口座を開くというもの。
そこでやりとりをしている担当者へ聞いてみた。
■質問:
「今回シンガポールの口座開設はマレーシアで行えるのか?」
■マレーシアの回答:
“We will not open the Singapore acc in Malaysia and all forms will be send back to Singapore for processing. Best if you could arrange with Singapore side when they call you for an appointment.”
(マレーシアではシンガポールの口座開設は行わない。書類は全てシンガポールへ送られそこから手続が始まる。そのあとはシンガポール側と調整してもらえればと思う。)
マレーシアでは書類を転送するのみ。あとは現地の人とやりとりを進めてくれ!との回答と理解した。シンガポール現地へ行って手続きをするのなら従来の内容と変わらない。
ただ、ここはマレーシア。日本と違って銀行員であっても言っている事が常に正しいとは限らない。
セカンドオピニオンを聞くため、連絡をくれたシンガポールの銀行員にも聞いてみた。
前回は質問の仕方が悪かったので内容も変えた。
■質問:
「今回の手続きでシンガポールへ訪れる必要はあるのか?」
■シンガポールの回答:
“You need not visit Singapore to set up a CIMB Singapore banking account. When you are in Kuala Lumpur, you may contact your CIMB Preferred Relationship Manager to arrange to sign the account opening form for CIMB Singapore. Once the account opening form has been completed, CIMB Malaysia will liaise with CIMB Singapore and we will set up the accounts from Singapore.”
(手続きのためにシンガポールへ訪れる必要は無い。クアラルンプールへ訪れた際、リレーションシップマネージャーへ連絡をして口座開設書類へのサインを行う。そうすればマレーシアからシンガポールへ連携され、シンガポール側で処理が行われる。)
原文そのままを載せているがシンガポールへ行く必要はないとの事。
言っていることが両担当者で違うが、シンガポール側が正しいと信じてメールをマレーシア担当へ転送した。
そうしたら手続きに必要な物を教えてくれたので、多分このままマレーシアで申込みは進められそう。
シンガポールの口座を開いて何するのか?
そんなことで手続きが進められそうなシンガポールの銀行口座開設。
ただ、前回のタイの口座と違ってシンガポールはついでに開こうかな程度にしか考えていない。理由は物価が高すぎて外こもりには全く適さない国だから。
とはいえ趣味だけで口座を持つ訳ではなく、ちゃんとした理由もある。
具体的には次の内容。
- Bursa MalaysiaとSGXの連携
- シンガポールへの転職
- IB証券
まず理由1.だが、今年マレーシアとシンガポールの証券取引所が相互アクセスを開始する。それに合わせてシンガポール建て資産を準備しようというもの。
連携が始まれば、両国間で安くスムーズに取り引きが行えるようになるので、予め用意をしようと考えている。
次の理由2.はシンガポールへ転職する人が最近多く、自分も将来可能性は無くはないので口座を先に作っておくというもの。
現在全く転職する考えは無いが、もし現地で就職活動するとかになったら何かとお金がかかるので、先に向こうで口座があれば便利と考えた。
最後の理由3.はIB証券を使う際にシンガポールドルの出金口座があれば便利だから。
世界中に投資ができる証券会社として有名なInteractive Brokersだが、東南アジアの通貨で取り扱っているのはシンガポールドルのみ。
将来IB証券を使い始めた時の事を考えると、シンガポールドルの入出金用口座があれば便利だと思った。
上記3点が理由。
取り敢えず旅行を楽しんできます
今回の口座開設は本当についで程度に考えている。
デビットカードのアクティベート作業はどうするのか?とかシンガポール口座を使ってマレーシアで株取り引きは出来るのか?とかいろいろ気になる点はあるが、ダメだったら無しでも全く不都合はない。
取り敢えず休暇を兼ねてペナン島&クアラルンプールで現地企業の株主総会へ参加するのが今回の旅行の目的なのでそっちの方を楽しみたいと思う。
以上です。
(追記)
無事にシンガポールの口座開設が完了しました。
コメント
この記事めっちゃ興味あります!ベトナム株は株主総会の通知も郵送で来る感じで問題なく運用中、タイ株もKT_ZIMCO&バン銀で今口座開設やり取り中ですが、タダの異邦人の私にはマレーシアは難攻不落。マレーシア株はKT_ZIMCOからのがSBIより安そうなので、3国間を考えていますが、銀行口座がもしSINでCIMBを開けばマレーシアでもイケて証券も、ということになれば凄いセキュリティホールです。ASEANにへそくりがあるのは至福ですが、KLはセディナで毎回キャッシングしてますので。あと貧民なのでIB証券も10万円までは何とか献上しましたが、SINドルで出金できるんですね!いつも情報ありがとうございます。
ベトナム株良いですね。CIMBは意外とHSBCプレミアより融通が効きそうです。ただ本国の口座開設はなぜか厳しいです・・。
海外旅行時のキャッシングは私ももっぱらセディナですね