格安旅行会社の倒産で旅行代金を支払った人を中心に大きな被害が発生している。
そんな中、クレジットカードで旅行代金を支払った人については、請求を止められないのか?といった話題が上がっている。
請求の停止についてはクレジットカード会社の裁量によるものと、法律で明確に定められたものがあり、後者であれば支払停止を一律申し立てることが可能。
そこら辺をご紹介したい。
※もしこの記事の内容に誤り等があればスミマセン。ご指摘いただければと思います。
この記事の目次
クレジットカード会社が費用を負担してくれるというのは現実的では無い
当事者となっている方には大変申し訳無いが、まず個人的な見解としてクレジットカード会社が、旅行代金の返金や請求取消に応じる道義はなく、また、そのような対応はあまり現実的ではないということを先に述べておく。
ご存知のとおりクレジットカード会社は、消費者とサービス提供者の金銭やり取りの間に入って、費用の立て替えをしているだけで、消費者の支払った費用に対してクレジットカード会社自体が直接サービスを提供しているわけではない。
したがって、サービス提供者である旅行会社がいくら倒産してしまったからといっても、旅行代金の補償をクレジットカード会社に求めるのは難しく、また、返金や請求取消によって、クレジットカード会社側が消費者の旅行代金を負担してくれるというのはあまり現実的ではない。
クレジットカード会社はあくまでも代金を立て替えているだけの存在。
ただし、法律に定められた権利がある!
ではクレジットカード会社が善意で対応してくれない限りは、クレジットカードで支払った旅行代金の請求は止められないのか?というとそういう事は無い。
法律に定められた条件に当てはまれば請求の停止を申し立てる事ができる。
まずはこちらの記事を見て欲しい。
てるみくらぶ、カード払いは「問い合わせを」
破産手続き中の旅行会社「てるみくらぶ」(東京)が販売した旅行商品を巡り、一般社団法人・日本クレジット協会(同)は、クレジットカードで支払い手続きをした人に対し、「支払い停止ができるかどうかをカード会社に問い合わせてほしい」と呼びかけている。
同協会によると、割賦かっぷ販売法では、利用者が分割払いなどを選択した後、支払い先に破産などのトラブルがあった場合、未払い分の支払い停止をカード会社に求めることができる、と定めている。規定のない一括払いでどのように対応するかについても、「各カード会社が判断する」としている。
一方、てるみくらぶを通じて旅行保険を販売した「Chubb損害保険(チャブ保険)」は、旅行に行けなかった人らに保険料を返還すると発表した。問い合わせは、チャブ保険旅行保険本部(03・6364・7060)へ。
YOMIURI ONLINE(http://www.yomiuri.co.jp/national/20170331-OYT1T50049.html)より引用
これは日本クレジット協会が、特定のカード利用については請求の停止を求める事が可能になる場合もあると利用者に呼びかけを行った際の記事。
こちらで重要なのは次の部分。
同協会によると、割賦かっぷ販売法では、利用者が分割払いなどを選択した後、支払い先に破産などのトラブルがあった場合、未払い分の支払い停止をカード会社に求めることができる、と定めている。
特定のカード利用とは上記の割賦販売法に定めるカード利用のことで、この場合であれば請求の停止を求める事が可能になる。
割賦販売法の対象となるカード利用とは?
割賦販売法の対象となるカード利用とは、それはずばり、リボ払いや分割払いで、2ヶ月以上にわたり3回以上に分割、あるいはリボルビング方式で代金を支払う利用のこと。
また最近は法改正で対象範囲が広がり2ヶ月以上であれば3回未満(ボーナス一括払いや分割2回払いなど)も対象に加えられている。
上記のケースは全て割賦販売法の規制対象となり、同法の定めに従う必要が生じる。
翌月1回払い(一括払い)以外は対象と理解した方がわかりやすいが、逆に言えば翌月1回払いは対象外ということにご注意。
割賦販売法に定めるカード請求の支払い停止申し立て権利とは?
割賦販売法が定めるカード請求の支払い停止申し立て権利とは「支払い停止の抗弁権」と呼ばれているもので、
- カード利用先や利用先の提供商品・サービス等に問題があること
- 割賦販売法対象のカード利用(分割払いやリボ払いなど)であること
- 総支払額が4万円以上(リボルビング方式は38,000円)であること
などの条件に当てはまれば、クレジットカード会社に対して該当のカード請求について支払い停止を申し立てる事ができる。
日本クレジット協会では次のように案内をしている。
■支払い停止の抗弁
今回のてるみくらぶのケースであれば、代金を支払ったのにも関わらずサービス(役務)を提供していないということで申し立ての条件に十分合致すると思われる。
支払い停止の申し立てを行うには、一般財団法人日本クレジット協会が提供している申請書に必要事項を記載の上、クレジットカード会社に送付をすれば良いだけ。
まとめ
カード請求の支払い停止を申し立てられるという内容についまとめると下記。
この条件に当てはまれば、該当の旅行代金について、今後支払う必要はなくなる可能性がある。
◯どんな申し立てが出来るの?
カードで支払った旅行代金の請求について支払い停止をクレジットカード会社に申し立てる事が出来る。
◯どんな人が対象なの?
旅行代金を特定のカード利用方法で支払った人
◯どんなカード利用が対象なの?
分割払いやリボルリビング払いでかつ、総支払額が4万円以上(リボルビング方式は38,000円)となるカード利用
※翌月1回払いは対象外
⇒割賦販売法の規制対象のカード利用でかつ支払い停止の抗弁権行使条件に当てはまる金額
◯どうやって申し立てるの?
支払い停止の抗弁申し立てに関する書面を準備のうえクレジットカード会社に送付する
となる。
ちなみに・・・
翌月1回払いの人も裏技的に申し立てが出来る可能性あり
ちなみに、今回の支払い停止の抗弁権については翌月1回払いのカード利用は対象外となっているが、裏技的な方法を使えば申し立てを行う事ができる可能性がある。
つまり、翌月1回払いであってもクレジットカード会社が提供する支払い方法変更サービスを使って割賦販売法対象のカード利用に変えてしまうというもの。
多くのクレジットカード会社では、翌月1回払いの支払いであっても後からリボ払いに変更したり、分割払いに変更したりすることが可能になっている。
これを行うことで割賦販売法対象外の請求を、同法対象の請求に変えてしまう事ができる。
上記により、割賦販売法の規制対象となったからには、同法が認める支払い停止の抗弁権を行使することも可能になる。
あとは申し立てを受けたクレジットカード会社がどのような反応するかであるが、基本的には法律に則って、クレジットカード会社側は申し立てを受ける法的義務が生じると個人的には思っている。
この方法については、クレジットカード会社には申し訳ないと思うが、今までやたらとリボ払い等の手数料が発生する支払い方法への変更を促して来た訳なので、これはもうしょうがないのではないかと思う。
以上です。
※冒頭にも書きましたが、もしこの記事の内容に誤り等があればスミマセン。ご指摘いただければと思います。
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