先日タイ旅行の際に現地のLINE PayことRabbit LINE Payを使ってみた。
タイでは日本と同じで多くの人がLINEを使っており、現地の決済サービスRabbit LINE Payがあれば高架鉄道BTSに事前チャージ不要で乗れたり、マクドナルドやマックスバリュなどで便利にスマホ決済が行えたりする。
ちなみに日本のLINE Pay(バーコード払い)を使った決済も可能と一部ネット記事にあるが、基本利用不可で一部の店舗のみに対応している。
この記事の目次
LINEは実は海外でも多く使われている
はじめにLINEの海外展開について簡単に紹介。
日本ではスマホユーザーのほとんどが使っているLINEだが、海外でもタイや台湾などで広く普及している。
日本と同じようにトーク機能がメインだが、それ以外にも現地のLINE Payがあったり、あるいは日本にはない独自のサービスが展開されていたりもする。
主な展開先とサービス内容は次のとおり。
国
|
メッセージング
|
決済 |
モバイル
|
|
---|---|---|---|---|
アプリ | カード | |||
日本 | トーク | LINE Pay | プリペイド | LINE Mobile |
台湾 | トーク | LINE Pay | クレジット/デビット | LINE Mobile |
タイ | トーク | Rabbit LINE Pay | 鉄道IC | LINE Mobile |
インドネシア | トーク | LINE Pay e-cash |
– | – |
※日本でもクレジットカードの発行を計画中
※LINE Pay e-cashは現在一時的にサービス停止中
この中では台湾がかなり進んでおり、銀行と提携してクレジットカードやデビットカードを既に100万枚以上発行している。また、タイではバンコクの主要交通網である高架鉄道BTSのICカード(Rabbit card)と連携しており、店舗決済のみならずBTSへの乗車もLINE Payで可能となっている。
これらの金融サービスは同社が注力している分野でもあり、2019年以降に日本を含めた各国で銀行を設立する計画も発表されている。
■LINEの金融サービス拡大計画
※LINE株式会社IR資料より
その他、各国独自のサービスとしては映画の予約がLINE上で行えたり、掲示板のようなコミュニティー機能があったりする。
タイのLINE Pay(Rabbit LINE Pay)を使ってみる
本題のタイのLINE Payについて。
LINEがタイで展開している決済サービスはRabbit LINE Payという名称。バンコクで高架鉄道事業などを手がけるBTSグループと共同で運営している。
今回タイに訪れて体験したのは次の2つになる。
- BTSのIC乗車カード(ラビットカード)との連携手続きとキャッシュレス乗車体験
- 実店舗でRabbit LINE Payを使ったスマホ決済体験
それぞれご紹介したい。
事前準備:タイのLINEを起動させる
Rabbit LINE Payはタイで提供されているサービスになるため、タイのLINEアカウントが必要になる。
作り方は現地の携帯番号があれば良いので、到着後に購入したプリペイドSIMなどを使って登録手続きを進める。
■LINEにタイの電話番号を登録
SMS認証や規約同意を済ませると日本と同じようなサービス画面が表示される。その中のメニューにRabbit LINE Payという項目がある。
各種規約に同意するとサービス画面が表示される。
これで完了。
ちなみにLINEアプリは通常1台のスマホで複数利用が出来ないため、一旦使っているLINEアプリをアインストールしてから再度インストールする必要がある。そうすれば初期画面が出てくるのでそこからタイのアカウント作成が行える。
タイのLINE利用時は日本のLINEは使えないが、アインストールと再インストールを繰り返して日本の電話番号でログインし直せば再度日本のアカウントに戻すことが出来る。
これが面倒であれば2台目のスマホを使えば良い。
あるいはデュアルSIMに対応するスマホを持っていればLINEアカウントを同時に2つ持つことも可能になる。
◯デュアルSIM対応スマホでLINEを2つ利用する
こっちの方がオススメ。
体験①:BTSラビットカードと連携してキャッシュレス乗車
最初にIC乗車カードと紐づけてキャッシュレス乗車の体験。
Rabbit LINE Payの”Rabbit”とは元々高架鉄道運営会社のBTSグループが独自に展開するIC乗車カード(ラビットカード)および電子マネーのこと。日本のSuicaみたいなもの。
BTSラビットカードとの紐付け設定を行う
今回のキャッシュレス体験ではRabbit LINE PayとBTSラビットカードを紐づけてBTSに乗車している。紐付け後は事前チャージが不要となり乗車賃はRabbit LINE Payで決済される。
LINEとBTSラビットカードとの連携はBTSの主要13駅に設置されているブースで行う。
営業時間内であればスタッフがいるので声をかけて登録を行いたい旨を伝える。そうするとLINEを操作して設定作業をしてくれる。
既にラビットカードを持っていればそれを使うことが出来るが、持っていなければその場で発行してもらえる。手数料は100バーツ。
これで完了。
BTSラビットカードを使って乗車する
紐付けが終わればすぐにBTSラビットカードでキャッシュレス乗車が可能。
日本と同じように改札でタッチするだけで良い。
LINEと連携しているため改札を出ると精算の通知が来る。
料金0バーツと表示されているのは無料乗車クーポンが適用されたから。通常であればRabbit LINE Payの残高または紐付けしているクレジットカードで精算される。
クーポンは期間限定で始まったキャンペーンだが今も継続しているらしい。
ちなみにBTSラビットカードが使えるのは高架鉄道BTS(スカイトレイン)のみ。
地下鉄道MRT(メトロ)や空港線ARL(エアポートレールリンク)、タイ国鉄SRTでは利用出来ないのでご注意を。
BTSメニューで履歴確認や支払い設定を行う
紐付けしたBTSラビットカードの情報はLINEに連携されるため各種確認や手続きは全てLINEアプリ上で行うことが出来る。
設定はLINEの中に”BTS”という項目があるのでそこから進める。
乗車履歴の確認はもちろんのこと、旅行者にはあまり馴染みのない回数券もMy Passという項目から購入できる。
また支払い方法の設定では日本のクレジットカードを登録することも可能。
LINEで全て完結するので非常に便利。
体験②:実店舗でRabbit LINE Payを使ってキャッシュレス決済
次はお店での利用体験。
実店舗でRabbit LINE Payが使える店は有名所を挙げるとマクドナルド・バーガーキング・ミスタードーナツ・マックスバリュになる。
残高チャージ
Rabbit LINE Payの決済方法は残高の利用または紐付けしたカードの利用のいずれかになる。
残高のチャージの方法は銀行口座または店舗等の窓口チャージがある。
自分が保有しているタイの銀行はまだ未対応のため、今回はBTSの窓口へ出向いてチャージを行った。
カウンターの人にチャージ(英語だとTop up)したい旨を伝えてお金を渡す。そうすると窓口に設置されている読み取り機が光るのでLINEのバーコード画面をかざして完了となる。
アプリ上でも通知が来る。
チャージ残高は手数料10バーツを支払えば銀行口座へ出金することも可能。
実店舗でキャッシュレス決済
次は実店舗でキャッシュレス決済。
まずは昼飯ついでにマクドナルドへ。Rabbit LINE Pay限定で10%Offのプロモーションが開催されていた。
注文後の精算時にLINEで支払いたい旨を伝えると、チャージの時と同じで読み取り機にバーコードをかざすように指示される。
ほんの数秒Processingの表示が出て処理が終わるとLINEに通知が来て支払いは完了。
日本だとバーコードを店員に読み込んでもらうのだが、タイ方式の方が早くて良いかもしれない。
タイ限定メニューはピリ辛でかなりうまかった。
次はマックスバリュで買い物。
この時は特にプロモーションはやっていなかった。
屋台で美味しそうな肉が売っていたのでそれも買って夜飯。
最後はバーガーキングで利用。
ここもプロモーションで10%Offとなっていた。
読めないけど内容的に10%Offだと予想がついた。
タイは良い国だけどやはり言葉が難しい・・。
まだ加盟店が多くはなく、特にコンビニで使えないのは非常に残念。
利用方法は非常にシンプルでかなり簡単なのでぜひ普及していってほしい。
日本のLINE Payをそのまま試す
最後に日本のLINE Payをタイで使ってみた際の挙動について紹介。
今回は現地の決済サービスを体験してみたが画面構成などは日本と全く同じ。そこでタイの店舗で日本のLINE Payを使って決済をしてみた。
■日本とタイのLINE Pay
結論からいうと利用不可だった・・。
検証はバーガーキングで実施。精算時にバーコードを読み込みと処理自体は進むのだが、しばらくしてエラーが発生してしまう。
LINE上でも一度は精算が行われるのだが、すぐにキャンセルになってしまった。
紐付けているクレジットカードには一度請求が来ているので、どうやらLINE側で止められたようだ。(後で取り消しになっている)
この件について、LINEは2018年に海外LINE Payを相互利用可能にすることを発表しているがよく読んでみると外国人が日本で使うことを想定された施策と説明されている。
中国のWeChatPayと戦略的連携、訪日ユーザーがLINE Pay加盟店でも決済可能に
韓国のNaver Pay、日本/台湾/タイ/インドネシアのLINE Payもコネクト(中略)さらに、日本以外の台湾、タイ、インドネシアの「LINE Pay」ネットワークとも連携し、それぞれのサービスのユーザーが、日本でも普段の生活で「LINE Pay」をお使いいただくのと変わりなく、支払いできるようにしてまいります。国内加盟店にとっては、全世界の「LINE」、「LINE Pay」ユーザーが見込み客となります。特に、台湾の訪日観光客数は中国、韓国に続く多さとなっており、「LINE Pay」は台湾においてNo.1モバイルペイメントとなっているため多くのユーザーにご利用いただいています。
ただ、実際には海外の一部店舗では利用は可能なようで日本の公式サポートもそのように案内をしている。
普通にクレジットカードを使えば良いだけなのだが、普段からLINEを使っている人であれば国をまたいだスマホ決済が出来るとかなり利便性が増すと思う。
ここは今後に期待したい。
世界中で一気にキャッシュレス化は進むと思う
今回はLINEの紹介だったが、タイではQRコードを使った送金システムPrompt Payを国が施策的に普及させている。
タイ国民はIDカードまたは携帯番号だけでお金のやりとりが出来る。しかも送金手数料は一定額まで無料。また同様のシステムはタイのみならずシンガポールやマレーシアでも既に構築されている。
一方日本においては民間企業が様々なナンタラPayサービスを展開しているが、国としては口ではキャッシュレス化を推進すると言いながらも単なるバラマキ施策を行うだけで戦略的なアプローチは全く行えていない現状である。
日本の役人が考える施策は全く当てにならないので民間の力に頼るしか無いが、世界中でキャッシュレス化はどんどん進んでいるので、日本も便利なキャッシュレスサービスが広がりを見せてくれるとうれしい。
以上です。