営業利益率50%超え!”証券取引所”って投資先としてどうですかね?日本とアメリカとシンガポール(SGX)とマレーシア(Bursa Malaysia)を比較する

この前シンガポールの証券取引所運営会社とマレーシアの証券取引所運営会社の株を買った。

この業界はどこも営業利益率が高くかなり高収益体質。

景気に左右される部分もあるが、上場企業が存在する限り固定収入が得られる構造にもなっている。

日本とアメリカの取引所と比較してご紹介したい。

証券取引所運営会社は高収益体質

証券取引所を運営する会社はどこも営業利益率が高い。

取引所運営会社各社の直近の営業利益率実績を規模順に見てみると次のようになる。

■営業利益率(2017年)
順位 取引所 営業利益率
1 ニューヨーク証券取引所(ICE) 51%
2 ナスダック 41%
3 日本取引所グループ 59%
4 上海証券取引所 非営利団体
5 ユーロネクスト 50%
6 ロンドン証券取引所グループ 46%

どの取引所も40%〜50%となっており、日本に関しては59%とずば抜けている。

この数字は他の高収益企業と比較しても高い。例えば秀逸なビジネスモデルで効率的な経営を行うGoogleやFacebook、VisaやMastercard、寡占状態で高い利益を上げ政府から批判を受けているドコモやKDDI、ソフトバンクと比べてみても全く劣らない。

■世界の高収益企業との比較
企業名 営業利益率
Visa 66%
日本取引所グループ 59%
Mastercard 53%
Facebook 50%
Alphabet(Google) 24%
NTTドコモ 20%
KDDI 19%
ソフトバンクグループ 14%

効率的に稼ぐという観点ではかなり優秀。

証券取引所運営会社の収益構造

では取引所運営会社はどのようなビジネスモデルで成り立っているのかというと、主に次の3つになる。

①取引・清算関連収益

証券取引所がメインとしているのが取引・清算関連収益。

これは証券会社から発注を受け、売買注文のマッチングや代金の精算など各処理を行う際に受け取る手数料になる。費用は投資家から直接貰うのではなく、取引所に接続をする証券会社より支払われる。

この他にも取引に参加するための基本料も証券会社より得る収益となる。

②情報関連収益

次に大きいのが情報関連収益。

これは取引所内で発生する様々なデータを収集し、証券会社や情報会社に販売して得る収益となる。

普段何気なく見ている株価や気配値などの情報は基本的に取引所が有料で提供しているサービスとなる。

③上場関連収益

そして次が企業の上場に関連する収益。

これは上場時と上場後に分かれ、前者は企業が新規上場を行う際に受け取る各種手数料で、後者は上場維持のための運用費や株式分割や増資などコーポレートアクションを実行する際の手数料となる。

取引・清算関連収益は景気変動に大きく左右されるが、上場関連収益は上場企業が存在する限り安定して得られる。

不景気で取引量が激減しても一応応は大丈夫なようになっている。

以上の3つ。

これらを日本(日本取引所グループ)とアメリカ(インターコンチネンタル取引所)の運営会社の内容で構成を見てみると次のようになる。

■収益構造
2017年年度 日本 アメリカ
取引・清算関連 65.4% 53.7%
情報関連 14.2% 35.7%
上場関連 10.8% 7.1%
その他 9.6% 3.5%

若干の差はあるが、シェアの順番は同じ。

将来的に株取引がより活発になり、上場企業も増えていくであろう新興国の取引所を狙う!

そんなことで高収益体質の取引所運営会社へ投資を行っている。銘柄はシンガポールで証券取引所を運営するSGXとマレーシアで証券取引所を運営するBurs Malaysia。

なぜ日本やアメリカの取引所ではなくシンガポールやマレーシアの取引所にしたのかというと、成熟した先進国よりも経済発展の著しい新興国の方が、将来的に株取引がより活発に行われるようになり、上場企業も段々と増えていくと思ったから。

そうすれば、市場参加者の増加に比例して、取引発生毎に受け取る処理手数料と上場時・上場後に企業から支払われる運営手数料も徐々に増えていくと考えられる。

シンガポール証券取引所(SGX)

シンガポール証券取引所は現物市場とデリバティブ市場をメインに運営する取引所。

デリバティブ市場は同社が力を入れている分野であり、現在利益の約40%は同市場から来るものとなっている。現物市場は一般企業向けのメインボードと新興企業向けのカタリストの2つのボードから構成されており、現在766企業が上場している。

運営企業のSGXは1991年12月に旧取引所が合併して誕生した会社で、アジアの金融センターであるシンガポールで取引所を運営しているのだが、オーストラリア証券取引所との合併の合意(後にオーストラリア政府の承認が得られる破談)を得たり、マレーシア証券取引所との連携(後にマレーシアの政権交代により凍結)を進めたり、他国へ積極的なアプローチを行っている。

■利益率と収益構造比較
2017年度 日本 アメリカ シンガポール
営業利益率 59% 51% 50%
取引・清算関連 65% 54% 66%
情報関連 14% 36% 12%
上場関連 11% 7% 10%
その他 10% 3% 12%

マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)

マレーシア証券取引所は1964年設立の証券取引所。現物市場とデリバティブ市場に加えてイスラム金融市場を運営している。

現物市場は一般企業向けのメインボードと新興企業向けのACE、そして中小企業向けのLEAP Marketの各ボードで取引されており現在932社が上場している。

イスラム金融市場に関しては、世界のイスラム人口の増加と合わせて今後取引が拡大していく事が見込まれており、国としてもクアラルンプールをイスラム金融センターとすべく税制優遇などの措置をとっている。

■利益率と収益構造
2017年度 日本 アメリカ マレーシア
営業利益率 59% 51% 53%
取引・清算関連 65% 54% 76%
情報関連 14% 36% 12%
上場関連 11% 7% 7%
その他 10% 3% 5%

投資方針は長期保有!

最近世界中で株価がやたらと乱高下しているが、今回の2銘柄は長期的に株価が上がってくれたら嬉しいと思って買った銘柄。あまり値動きには一喜一憂をせず、配当金を貰いながらじっくりと構えたいと思う。

ちょうど両社の配当利回りは投資価格当たりでSGXが4.73%、BURSAが3.65%となっている。

過去大幅な増配は無いが安定的な配当を実施してくれているのでひとまずはキープで良いと思っている。

■配当実績とYOC
年度
SGX BURSA
配当 YOC 配当 YOC
2018 0.325 4.73% 0.22 3.05%
2017 0.28 4.08% 0.535 7.42%
2016 0.28 4.08% 0.34 4.72%
2015 0.29 4.22% 0.345 4.79%
2014 0.28 4.08% 0.54 7.49%

どちらも現地の配当課税が0%なので丁度よい。

以上です。