2019年1月1日よりIB証券で金利収入を得るための条件が緩和された。
今まではUSD100,000以上の資産を有している人のみが対象となっていたが、今回よりこの資産条件が廃止となった。
非常に有り難い。
ただ、実際に貰える金利はやや複雑な条件で決定されるので、まとめておく。
この記事の目次
IB証券の口座内キャッシュに金利が付きます
IB証券では口座内のキャッシュに対して受取金利が発生する。
これは日本の証券会社がよく提供しているMMFではなく、外貨預金のようにキャッシュ残高に対して一定の金利が発生するというもの。
海外の証券会社であれば比較的一般的な内容になる。
IB証券は世界23通貨に対応をしており、2019年1月2日現在で各通貨の金利は次のようになる。
通貨 | 利率 | 通貨 | 利率 |
---|---|---|---|
米ドル | 1.90% | インドルピー | 0% |
豪ドル | 1.61% | 日本円 | -1.14% |
カナダドル | 0.62% | 韓国ウォン | 0.25% |
人民元 | 0% | メキシコペソ | 2.95% |
スイスフラン | 0% | ノルウェークローネ | 0% |
チェココルナ | 1.67% | NZドル | 0% |
デンマーククローネ | -1.41% | ポーランドズウォティ | 0.15% |
ユーロ | -0.71% | ロシアルーブル | 1.36% |
ポンド | 0.16% | スウェーデンクローナ | -1.80% |
香港ドル | 2.25% | シンガポールドル | 1.21% |
ハンガリーフォリント | 0% | 南アランド | 5.31% |
イスラエルシュケル | 0% | – | – |
利率は各国の無担保コール翌日物金利をベンチマークとし、そこから一定の割合を差し引いた値が設定される。
例えば米ドルであれば、フェデラル・ファンド・レート(FF金利)から0.5%を引いた率が設定され、日本円であればJPY LIBORから0.25%を引いた率が設定されている。
一部の通貨でマイナス金利になっているが、これはベンチマークの利率がそもそもマイナスで設定されているのが理由。
一時は顧客が利息を払わないといけないという状況になったらしいが、現在マイナス部分は一律0%で計算される。
CHF、DKK、EUR、JPYまたはSEKで保有されたバランスに対し、弊社では現在マイナス金利を適用しています。ベンチマーク・レートと受取利息の合計が0以下の通貨の受取利息は0%となります。
IB証券より
サービス対象者の条件変更と実際の金利設定
今回より資産額によらず誰もが金利収入を得られるようになったが、実際は資産額とキャッシュ残高に応じて0%〜最大値と異なる金利が設定される。
変更点は下記。
■サービス対象者
- 変更前:USD100,000以上の資産保有者
- 変更後:条件なし
■金利条件
- 変更前:キャッシュ残高に応じて設定
- 変更後:キャッシュ残高と資産額に応じて設定
まず金利条件の「キャッシュ残高に応じた金利設定」という部分だが、これは通貨ごとに一定の金額を超えた分にのみ金利が発生するというもので従来から変更はない。
例えば米ドルであればUSD10,000までは0%で、それを超えた分から1.9%の金利が発生する。
従ってUSD20,000のキャッシュを持っている場合は、
- 金利=USD10,000×0%+USD10,000×1.90%=0.95%
が発生する。
通貨ごとの条件は次のとおり。
通貨 | 残高 | 利率 | 通貨 | 残高 | 利率 |
---|---|---|---|---|---|
米ドル | 0 – 10,000 | 0% | インドルピー | すべて | 0% |
10,000.01 + | 1.90% | 日本円 | 0 – 11,000,000 | 0% | |
豪ドル | 0 – 14,000 | 0% | 11,000,000.01 + | -1.14% | |
14,000.01 – 140,000 | 1.36% | 韓国ウォン | 0 – 12,000,000 | 0% | |
140,000.01 + | 1.61% | 12,000,000.01 + | 0.25% | ||
カナダドル | 0 – 14,000 | 0% | メキシコペソ | 0 – 190,000 | 0% |
14,000.01 + | 0.62% | 190,000.01 + | 2.95% | ||
スイスフラン | 0 – 100,000 | 0% | ノルウェークローネ | 0 – 85,000 | 0% |
100,000.01 + | -1.09% | 85,000.01 + | 0% | ||
人民元 | すべて | 0% | NZドル | 0 – 15,000 | 0% |
チェココルナ | 0 – 2,500,000 | 0% | 15,000.01 + | 0% | |
2,500,000.01 + | 1.67% | ポーランドズウォティ | 0 – 400,000 | 0% | |
デンマーククローネ | 0 – 700,000 | 0% | 400,000.01 + | 0.15% | |
700,000.01 + | -1.41% | ロシアルーブル | 0 – 700,000 | 0% | |
ユーロ | 0 – 100,000 | 0% | 700,000.01 + | 1.36% | |
100,000.01 + | -0.71% | スウェーデンクローナ | 0 – 850,000 | 0% | |
ポンド | 0 – 8,000 | 0% | 850,000.01 + | -1.80% | |
8,000.01 + | 0.16% | シンガポールドル | 0 – 15,000 | 0% | |
香港ドル | 0 – 78,000 | 0% | 15,000.01 + | 1.21% | |
78,000.01 + | 2.25% | 南アランド | 0 – 150,000 | 0% | |
ハンガリーフォリント | 0 – 2,800,000 | 0% | 150,000.01 + | 5.31% | |
2,800,000.01 + | 0% | – | – | ||
イスラエルシュケル | すべて | 0% |
そして今回のサービス対象の拡大に伴い新たに追加されたのが「資産額に応じた金利設定」という部分。
これはUSD100,000を基準として口座内の資産額(純資産価値:NAV)に応じた割合で金利が計算されるというもの。
先程の米ドルのケースで資産額がUSD50,000相当の場合は次のような金利になる。
■条件例
- キャッシュ残高:USD20,000
- 資産額:USD50,000相当
■設定金利
- 金利=(USD10,000×0%+USD10,000×1.90%)×50,000/100,000=0.475%
口座内資産が多い方がより有利になる。
日本の証券口座で外貨建てMMF運用をした方が良い?
今回よりIB証券のキャッシュ残高で金利収入を得やすくなったが、そもそもキャッシュで稼ぐという観点であれば日本の証券口座でMMF運用をした方が良い。
というのも日本の証券口座でMMF運用をすれば、特定口座に対応しているので税金の対応が不要だし、そもそも得られる利率も高い。
現在、楽天証券とSBI証券で提供されている米ドル建てMMF(利率が一番高いもの)と今回のIB証券の金利を比較すると次のようになる。
楽天証券 | SBI証券 | IB証券 | |
---|---|---|---|
サービス名 | GS米ドルファンド | BRスーパーMMF | – |
種別 | 投資信託 | 投資信託 | 外貨預金 |
利回り | 一律1.927% | 一律2.096% | 0%〜1.90% |
最低預入額 | 10米ドル | 10米ドル | – |
費用 | 年率0.70% | 年率0.75% | 0 or 10米ドル/月 |
分配/入金 | 毎月 | 毎月 | 毎月 |
解約 | 即時 | 即時 | – |
確定申告 | 不要 | 不要 | 必要 |
日本の証券口座でMMFを買い付ければ残高によらず一律2%近くの利回りで運用され、信託報酬を差し引いたとしても1%以上は得られる。
一方のIB証券は一定額を超えない限り0%のままになる。
また手数料面ではIB証券は口座維持手数料が毎月USD10発生する。
USD100,000以上の資産を持っている場合は免除になったり、取引で発生した手数料分は維持費から減算されるなど各種条件はあるが、日本の証券口座であればそもそも費用はかからない。
キャッシュで稼ぐという点ではIB証券は不利。
外貨の入出金を自由に行えて、世界中の様々な商品に安く投資ができるのがIB証券の魅力
じゃーIB証券の何が良いのかというと、世界の銀行との間で自由に外貨の入出金が行えるのと、日本では提供されていない様々な金融商品に安く投資が行えるという2点になる。
IB証券は上で紹介のとおり世界23通貨に対応をしており、外貨はそのままIB証券の口座に入金をしたり、そのまま銀行へ出金したりすることが出来る。
日本の証券会社は外貨で運用が出来たとしても、外貨のままでお金を引き出す事はできない。
従って、お金を使う場合は日本円に戻す必要があり、その時の為替によって大きく価値は変動してしまう。
IB証券であれば外貨のまま銀行に出金してATMから引き出したり、カード決済に使ったりすることが出来る。
ここは大きな違いになる。
そしてIB証券のもう一つの魅力は世界トップクラスの取扱商品の豊富さと低いコストにある。
同社が対応しているのは世界24カ国120マーケットと23通貨で、商品は株式・オプション・先物・為替・金属・債券・ETC・投資信託・CFD・EFPとかなり幅広く扱っている。
■取扱商品
日本でも外国株や債券など一部に対応しているケースもあるが、ここまで徹底している会社は存在しない。
そして取引手数料もかなり安く設定されており、米国株であれば1取引1ドルとなる。
取引をあまり行わない投資家には口座維持費が発生するので不利になるが、積極的な取引を行う投資家にはかなり魅力的な水準の手数料になっている。
お金を貯めて勉強を兼ねていろいろ手を出します
IB証券はこのように素人が手を出すべき証券会社では無いように感じるが、自分は勉強のために昨年夏より口座を開いていろいろと手を出し始めている。
現時点では全く活用できていないが、今後月額費用を払った分はしっかりと活かせるようにしていきたい。
まずは口座内資産USD100,000を目指して入金と投資を繰り返していく。
以上です。