【別途和訳あり】オプションのロングポジションはイン・ザ・マネーになってもポジションをクローズして利益確定するのではなく、権利行使をして現物を貰った後に利益確定した方が税金が安くなる場合がある

海外のオプション取引を行う際、ひと手間をかけて取引をした方が税率が下がる場合があるので紹介したい。

ちなみに本記事は海外オプションを対象とした事例となるので国内オプションは関係無いです。

あと税金に関する正しい情報は最寄りの税務署に確認してください。

前提知識①:海外先物・オプション取引で得た利益の税率

海外先物・オプション取引で得た利益は雑所得の総合課税となり、課税所得額に応じて最大55.945%の税率が課せられる。

■課税所得別税率
195万円以下 195万円超
~330万円以下
330万円超
~695万円以下
695万円超
~900万円以下
900万円超
~1,000万円以下
1,000万円超
~1,800万円以下
1,800万円超
~4,000万円以下
4,000万円超
所得税 5% 10% 20% 23% 33% 33% 40% 45%
復興特別所得税 0.105% 0.210% 0.420% 0.483% 0.693% 0.693% 0.840% 0.945%
住民税 10% 10% 10% 10% 10% 10% 10% 10%
合計 15.105% 20.210% 30.420% 33.483% 43.693% 43.693% 50.840% 55.945%

参考:https://www.daiwa.jp/seminar/study_tax/tax_rate.html

前提知識②:上場株式等の取引で得た売却益の税率

一方で上場株式等の取引で得た売却益は譲渡所得で申告分離課税が選択でき、一律20.315%の税率が課せられる。

■税率
所得税 15%
住民税 5%
復興特別所得税 0.315%
合計 20.315%

参考:https://www.daiwa.jp/seminar/study_tax/tax_rate.html

【和訳】オプションの買いポジションが含み益状態になっても反対売買をして利益確定するのではなく、権利行使をして現物株で利益確定した方が税率が下がる場合がある

ここからが本題。

オプション取引とは一定の価格で株を買う/売る権利のことでオプションのロングポジション(買いポジション)ではこの権利を保有している状態となる。株価が上がったり下がったりしたタイミングで保有している権利を行使することで市場よりも安い価格で株を買ったり、高い価格で株を売ったりすることができる。

またオプション自体の価格も常に変動するため購入時よりも値上がれば途中で権利を売却して利益を得ることができる。

この権利を行使した際に利益が出る状態をイン・ザ・マネーと呼び、この時はオプション自体の価格は基本的に含み益になっている。

オプションが含み益状態となり利益確定をしようとする場合は最初に紹介したとおり売却益は雑所得の総合課税となり最大55%超えの税率が課せられ、一方で上場株式等の現物株で得た売却益は申告分離課税で一律20.315%となる。

従ってオプションのまま取引するのでばなく権利を行使し、現物株を貰った後に現物株を売却して利益を得る方が課税所得額によって税率が有利になる場合がある。

■税率比較
195万円以下 195万円超
~330万円以下
330万円超
~695万円以下
695万円超
~900万円以下
900万円超
~1,000万円以下
1,000万円超
~1,800万円以下
1,800万円超
~4,000万円以下
4,000万円超
総合課税 15.105% 20.210% 30.420% 33.483% 43.693% 43.693% 50.840% 55.945%
申告分離課税 20.315%

具体的には上記のとおり課税所得額が330万円を超えている場合は申告分離課税の方が税率が低くなる。

米国株オプションであれば満期まで待たずともいつでも権利を行使することが出来るのでタイミングを見て適宜権利行使と利確をしましょう。

(素人の自分は過去権利行使が可能というのを忘れていて利益が出ているのに満期まで待ち続け、結局マイ転してしまったことがある・・)

課税所得=年収ではないよ

ここでややこしいのが自分の課税所得額がいくらなのか分かりにくいという部分。サラリーマンであれば源泉徴収票から確認ができる。

■源泉徴収票

赤:年収
青:給与所得
緑:控除額合計

課税所得=青-緑

各種控除が反映されるので自身課税所得額を確認してみると年収に対する割合としては意外と低いと感じた人も多いのではないかと思う。

また副業で確定申告を行っている人は申告書の「税金の計算」部分に記載されている。

■確定申告書(A/Bと第三表)

総合課税の副業だけで確定申告していれば左の申告書AまたはBの赤枠部分、申告分離課税で確定申告をしている場合は右の第三表の赤枠部分に記載がされる。

以上です。