JTより配当金を貰った。
9月の中間配当で金額は7,500円。
ネット上にはどこも似たような記事がアップされているが改めてご紹介したい。
JTの配当支払いタイミングと配当実績
JTの配当支払いタイミングは期末配当が3月下旬、中間配当が8月末〜9月上旬。
2018年の中間配当は9月3日に実施され、金額は単元株保有で7,500円となった。
■JTの配当実施タイミング
- 期末配当:3月下旬
- 中間配当:8月下旬から9月上旬
過去の配当実績をまとめると次のようになる。
金額は単元株100株を持っていた場合。
年度 | 中間 | 期末 | 増配率 |
---|---|---|---|
2018年度 | 7,500 | 7,500 | +7.1% |
2017年度 | 7,000 | 7,000 | +7.7% |
2016年度 | 6,400 | 6,600 | +10.2% |
2015年度 | 5,400 | 6,400 | +18.0% |
2014年度 | 5,000 | 5,000 | +4.2% |
2013年度 | 4,600 | 5,000 | +41.2% |
2012年度 | 3,000 | 3,800 | – |
直近5年間毎年増配を続けており、2018年度は単元株保有で前年比+1,000円の年額増配が見込まれている。
これは6年前の年間配当と比べると+8,200円にもなる。
ありがたい。
最近の株価はダダ下がり状態。配当利回りは上昇
配当金が上がる一方で株価の方は最近ダダ下がり状態。そのため配当利回りはかなり高い水準へ上昇。
株価 | 変化率 | |
---|---|---|
2018年 | 2,936 | -29.44% |
2017年 | 4,161 | -5.47% |
2016年 | 4,402 | -3.04% |
2015年 | 4,540 | +31.82% |
2014年 | 3,444 | -0.46% |
2013年 | 3,460 | +58.35% |
2012年 | 2,185 | – |
上記は毎年5月末時点の株価推移。これを見ると株価は2016年より大きく下がり始め、2018年は前年比でマイナス29%を超える大幅な下落になっている。
そして株価ダウンに伴って直近の配当利回りは5%台へ。
株価 | 配当利回り | |||
---|---|---|---|---|
①同年 | ②15年 | ③12年 | ||
2018年 | 2,936 | 5.11% | 3.30% | 6.86% |
2017年 | 4,161 | 3.36% | 3.08% | 6.41% |
2016年 | 4,402 | 2.95% | 2.86% | 5.95% |
2015年 | 4,540 | 2.60% | 2.60% | 5.40% |
2014年 | 3,444 | 2.90% | – | 4.58% |
2013年 | 3,460 | 2.77% | – | 4.39% |
2012年 | 2,185 | 3.11% | – | 3.11% |
上記は先ほどの毎年5月末時点の株価を基準に、①毎年投資をした場合、②最も高い株価の時に投資をした場合、③最も低い株価で投資をした場合の各ケースにおける配当利回りを比較したもの。
まず「同年」と書いているのが、その年に投資をした場合に同年度の配当額換算で利回りが何%になるかを表したもの。
これを見ると例年2%後半~3%前半の配当利回りで推移をしていたものが、2018年には5%を超える状態となった。株価が下落する一方で配当額が増えているのが理由。
そして次の2つは、表の中で最も株価が高かった2015年(赤字部分)と最も株価が低かった2012年(青字部分)に投資をしていた場合に、それぞれ投資額当たりで毎年何%の配当利回りが得られたかを表したもの。
もし15年に天井買いをしたとしても18年配当で3.3%は得られる見込み。これは今の日経の平均配当利回り1.84%と比べてもかなり高い水準。そして12年に安く株を買えた人は6.8%もの配当がもらえる状態となる。
これを見るといかに株価が低い時に投資するかが肝心(超当たり前)であり、3,000円を割っている現在の株価は、利回り換算でもかなりお買い得なのではないかと思える
配当がちゃんと維持できればという前提があるが。
JTの事業内容
次はJTの事業内容についてまとめる。
2017年度の事業別売上実績は下記のとおり。
事業 | 割合 | 売上(億円) | 昨対比 | |
---|---|---|---|---|
たばこ事業
|
海外 | 57.8% | 12,376 | +3.2% |
国内 | 29.3% | 6,268 | -8.4% | |
医薬事業 | 4.9% | 1,047 | +20.1% | |
加工食品事業 | 7.6% | 1,631 | -0.6% | |
その他 | 0.4% | 75 | -12.8% |
それぞれ詳細を説明する。
◯たばこ事業(海外・国内)
まずはメインのたばこ事業。2017年度事業別売上シェアは87%。
やはりたばこで成り立っている会社だというのが分かる。
海外たばこ事業
たばこ事業の中でも特に同社の稼ぎ頭になっているのが海外たばこ事業。
各国で高いシェアを維持している。
主要市場 | ポジション | シェア率 |
---|---|---|
ロシア | 第1位 | 33.2% |
イタリア | 第2位 | 23.1% |
イギリス | 第2位 | 40.4% |
フランス | 第2位 | 22.0% |
トルコ | 第2位 | 28.8% |
スペイン | 第3位 | 24.0% |
台湾 | 第1位 | 41.7% |
この事業を取り仕切っているのはスイスに本部を置くJTインターナショナルで、この下に各地域本部と現地法人が設置されている。
JTインターナショナルの源流は、1999年にオレオやリッツで有名な米RJRナビスコ社から買収した米国外たばこ事業子会社のRJRインターナショナル社となる。
JTの海外進出はこの買収から始まったが、今も市場開拓を目的に積極的なM&Aを続けている。
直近ではIR発表ベースで次のような買収を行っている。
年 | 国 | 内容 | 企業 |
---|---|---|---|
18年 | ロシア | 子会社化 | JSC Donskoy Tabak |
17年
|
エチオピア | 子会社化 | National Tobacco |
インドネシア | 子会社化 | Karyadibya Mahardhika | |
インドネシア | 子会社化 | Surya Mustika Nusantara | |
フィリピン | 資産買収 | Mighty Corporation | |
16年 | エチオピア | 出資 | National Tobacco |
15年
|
アメリカ | 事業買収 | Reynolds American |
アメリカ | 子会社化 | Logic Technology Development |
非常にアグレッシブな対応を進めている。
国内たばこ事業
国内たばこ事業はマーケットシェア6割とほぼ専有状態であるが、環境の変化により需要は年々減ってきている。
また煙の出ない電子タバコへの移行も進んでいるものの、先行している米フィリップ・モリスのiQOSに遅れを取っている状態。
このiQOSを含めた新しいタバコはRRP(Reduced-Risk Products:喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)と呼ばれており、JTもPloom TECHという製品を2016年3月より一部地域でテスト販売を開始している。
その後生産体制に問題が生じていたが、それも無事に解消して2018年6月より全国販売が始まった。
18Q2四半期報告によるとPPR市場においてPloom TECHは20%程度のシェアを確保しているとのこと。また紙巻きの需要に関しては当初見込みよりも減少率は少なかった。
ちなみにiQOSとPloom TECHは一般的に電子たばこと呼ばれる製品だが、機能は全く異なる。根本的な違いは下記。
■iQOSとPloom TECHの比較
- iQOS:直接たばこ葉を熱して発生させた水蒸気を吸う
- Ploom TECH:液体を熱して発生させた水蒸気をたばこ葉に通して吸う
吸うものは同じ水蒸気になるが、たばこ葉を直接熱するか、熱した水蒸気をたばこ葉に通すかで異なっている。
また性能面での比較は次のとおり。
iQOS | Ploom TECH | |
---|---|---|
定価 | 7,980円 | 3,000円 |
重さ | 20.1g | 16g |
着火 | 不要 | 不要 |
喫煙回数 | 14吸い | 50吸い |
煙 | なし | なし |
におい | あり | なし |
灰 | なし | なし |
吸い方 | 吸い切り | 中断可 |
残り | 吸い殻 | カプセル |
Ploom TECHはたばこ葉を熱するわけではないため匂いはしない。またカプセルタイプなので吸い始めて途中で中断することも可能。
一方iQOSはたばこ葉を直接熱するため匂いは少なからずある。また熱するたばこ葉は本体のブレードに差し込むタイプなので、一度吸い始めると中断はできない。
◯医薬事業
JTの売上に占める医薬事業の割合は4.9%。
同事業ではJT本体が研究開発を行い、子会社の鳥居薬品が製造・販売を行うという分業体制をとっている。
営業利益の推移は次のとおり。
営業利益 | |
---|---|
2017年度 | 241 |
2016年度 | 97 |
2015年度 | ▲23 |
2014年度 | ▲73 |
2013年度 | ▲90 |
毎年赤字が続いていたが2016年についに黒字化を達成。
今後も利益へ貢献してくれるのだろう、と思いきやつい先日次のような発表が行われた。
■JTの発表
抗 HIV 薬6品の日本国内における独占的開発・商業化権に関する契約及び独占的販売権に 関する契約の解消に向けた意思確認書の締結について
日本たばこ産業株式会社(以下「JT」)は、Gilead Sciences(以下「Gilead 社」)が創製 し、JT が日本国内での独占的開発・商業化権を保有する抗 HIV 薬6品(以下「当該薬品」) について、Gilead 社とのライセンス契約の解消に向けて協議を開始することを旨とした法 的拘束力のない意思確認書を Gilead 社と締結しました。 また、JT と鳥居薬品株式会社(以下「鳥居薬品」)は、当該薬品の日本国内における独占 的販売権に関する契約の解消に向けて協議を開始することを旨とした法的拘束力のない意 思確認書を締結しましたので、お知らせします。
(省略)
米国製薬会社ギリアド社と締結している抗HIV薬の国内独占製造・販売ライセンスについて、先方より解消の提案があったとのこと。理由はギリアド社が日本へ独自進出を計画しているため。
この薬品は鳥居薬品の2017年度実績で見ると、売上高の31.2%も占めている。
17年度(百万) | 構成比率 | |
---|---|---|
レミッチ | 13,838 | 22.0% |
デシコビ配合錠 | 9,218 | 14.6% |
ゲンボイヤ配合錠 | 6,325 | 10.1% |
アンテベート | 6,287 | 10.1% |
リオナ錠 | 6,245 | 9.9% |
ツルバダ配合錠 | 3,941 | 6.3% |
ビオスリー | 2,545 | 4.0% |
ケイキサレート | 2,123 | 3.4% |
注射用フサン | 2,047 | 3.3% |
ゼフナート | 1,483 | 2.4% |
ロコイド | 1,411 | 2.2% |
シダトレン スギ花粉⾆下液 | 1,295 | 2.1% |
マグセント | 1,115 | 1.8% |
ユリノーム錠 | 1,020 | 1.6% |
スタリビルド配合錠 | 148 | 0.2% |
その他 | 3,891 | 6.2% |
該当薬品 | 19,632/62,932 | 31.2% |
業績への影響は未定としているが結構大きいんじゃないかと思っている。
まあJT本体から見ればそもそも医薬事業自体大した売上ではないけど。
◯食品加工事業
食品加工事業は子会社のテーブルマーク(旧加ト吉)グループが主体となり、冷凍食品・常温食品・調味料・ベーカリーの各領域で傘下グループ企業が事業を行っている。
JT本体で行っている株主優待では同事業の製品がもらえる。
ちなみに桃の天然水やコーヒーのルーツなどの清涼飲料水は、JT子会社のJTフーズが製造・販売を行っていたが2015年に飲料事業から撤退をしている。
JT株は買いか?
高配当銘柄となったJTではあるが、原資となる利益はちゃんと稼げているのか?あるいは継続して成長できる状況なのか?という観点で個人的なコメント。
海外たばこ事業は強い。今の株価なら余裕で買いでしょ
というのが率直な意見。
国内のたばこ需要の減少とか、電子タバコでiQOSに遅れをとっているとか、米ギリアド社の抗HIV薬のライセンス解消とか、気になる部分はいろいろとあるが、JTの売上の多くを占めるのは海外のたばこ事業。
この部分にフォーカスをすれば、まだまだ成長の余地はあると思っている。
たばこ喫煙者は世界中にまだまだいっぱいいるし、新興国を中心に人口増加と合わせて喫煙需要も増えてくるはず。
そうなると既にグローバルで事業を行っており、ブランド力のある商品を数多く持っているJTはやはり強いと思う。
そもそも現在の株価で配当利回りは5%もある。倒産間際の企業ならまだしも潰れる可能性の低い会社でこの利回りは十分魅力のある数字。
冒頭に説明したとおり、いかに安い時に買うかが大事なのでけっこう狙い目だと思っている。(ポジショントークでは無いです)
以上、ド素人の個人的なコメントでした。
コメント
海外たばこ事業が伸びてるって言っても、割高な買収によって伸ばしてるだけだと思う。
買収したらその分の売り上げと利益が増えるのは当たり前。のれんの償却もしてないわけだし。