先日シンガポールの口座からシンガポール国内の他行へ振込手続きをした。その時に体験したFASTという振込制度がかなり画期的だった。
24時間365日いつでも送金が可能で、振込手数料は完全無料。
日本も真似すべき。
この記事の目次
FAST送金は24時間365日使える。しかも振込手数料は無料
FASTはシンガポール国内で使われている送金システム。
申し込みはインターネットから行い、曜日や時間帯を問わずいつでも手続が行なえる。
送金は即時実行され、数分で振込先に反映される。
しかも個人利用なら他行宛・自行宛問わず手数料はどの銀行も無料。
平日15時までしか受け付けていない日本の銀行と比べるとかなり画期的。
(日本も今年から24時間365日振込が開始するが)
実際のFAST送金手続き
自分が利用した銀行での実際の手続きを順に追って紹介。
①振込先情報を確認
今回の振込先はTransferWiseのシンガポール現地法人。手続を行うには日本と同じく口座番号と口座名義が必要。ただし、支店名は不要。
送金先はシンガポール大手のDBS銀行が指定された。
②送金先登録
次はネットからの申し込み。ただ、その前に定期的に送金する可能性があるので、振込先リストに登録をした。
オンラインバンキングにログインをし、国内送金の項目からリスト登録へ進む。
銀行一覧からDBS銀行を選んで設定。
この時、登録をするのはDBS銀行だが画面には”DBS POSB”と表示された。
調べてみるとPOSBはシンガポールにおける「ゆうちょ」的な銀行のことでDBS銀行が買収したので”DBS POSB”の表示になっているようだ。
次に口座情報の登録。
振込や口座番号、受取人などを英語にすると次のようになる。
- 振込:fund transfer
- 振込先銀行:beneficiary bank
- 振込先口座番号:beneficiary account number
- 受取人:beneficiary name
各必須項目を入力する。
設定を終えたらセキュリティーデバイスで認証をして完了。
③FAST送金
そして振込手続き。手続画面では送金方法が選べるのでFASTを選択。
都度送金なら振込先情報を入力する必要があるが、今回は先程の登録リストから呼び出して手続きを行う。
シンガポールでは振込時に送金理由を申告しなければならないようで、今回は本当にどれにも当てはまらないため”Other”をセット。
あとはセキュリティデバイスで認証をして送金を実行するのみ。
④先方へ着金
FASTで振込手続をしたのは日曜日の夜だったが、送金は即時実行され、先方からの着金連絡もすぐに来た。
すごく便利。
シンガポール国内における送金手段
今回はFASTを使った送金手段を紹介したが、シンガポール国内での銀行振り込みはFASTを含めて4種類の方法がある。
せっかくなのでそれぞれご紹介する。
①PayNow
PayNowはシンガポール銀行協会が2017年7月より受付を開始した個人間送金サービス。
PayNowでは送金時の口座番号や口座名義の入力は不要で、携帯電話番号かシンガポールの身分証(NRIC)番号があれば簡単にお金を送る事ができる。24時間365日受付けており、振込手数料は無料。
手続きをして数分で送金は完了する。
受取人は自身の口座に携帯電話番号またはNRIC番号を予め登録しておく必要があるのと、現時点では個人客利用のみにしか対応していないのが注意点。
②FAST (Fast And Secure Transfers)
今回使ったFASTはシンガポール銀行協会が運営する送金サービス。従来の送金サービスを拡充させた形で2014年3月より運用を開始した。
FASTの受付はインターネットからのみ。手続きは24時間365日行えて送金は数分以内に完了する。
振込手数料は他行宛・自行宛て問わず個人利用は無料。
③eGIRO
eGIROはシンガポール小口決済システム(Singapore ACH)を使った送金方法。
ACH(Automated Clearing House)と言えばアメリカの送金システムを思い浮かべる人が多いと思うが、シンガポールにも同様の仕組みはあるようだ。
送金情報は小口決済システムへ送られ、後に精算処理がまとめて実行されたうえで振込先に結果が反映される。申し込みから送金完了までは2~3営業日はかかる。
ちなみにGIROという精算の仕組みもあり、こちらは送金ではなく自動口座振替の内容になる。
※違ってたらすみません
③MEPS (MAS Electronic Payment System)
MEPSはSWIFTのフォーマットとシステムを使った国内送金手段。
日本の一般的な振込手続と同じようなもの。
ネット手続なら16時までの申し込みで同日中には振込が完了し、それ以降は翌日反映となる。
また窓口での手続も受け付けている。
手数料は銀行によって異なる。
どうするよ?日本は
今回他国の送金サービスを利用して感じたのは日本のサービスが時代遅れになりつつあるという事。
今回の手数料無料即時送金システムのFASTやFASTを進化させたPayNowは、国とシンガポール銀行協会が協力し、キャッシュレス化社会の到来に向けて積極的に進めて実現したサービス。
一方日本においては、「お堅い団体」にいる「お堅い方々」が、よく分からない「お堅い事」をやっているだけで、時代に即した銀行のあり方や新たな銀行サービスの検討など全く議論されているようには見えない。
今年ようやく日本でも24時間即時振込が始まるが、もうちょっと早く対応しても良かったのではないかと思う。
取り敢えず日本においても金融関連の技術革新が活発に起こることを期待してます。
以上です。