株を貸して金利が得られる「貸株サービス」で今年度の収入額が確定した。年間入金実績は59,642円。
有り難い。
貸株サービスのよくある疑問に対して回答をしつつご紹介したい。
この記事の目次
貸株サービスとは?
貸株サービスとは保有する株を証券会社へ貸出してその対価として金利が得られるサービス。主に大手ネット証券で提供されている。
銘柄毎に通常0.1%〜2.0%、ボーナス銘柄で最大15%の利率が設定され、その日の評価額×利率によって計算された額が日次で金利として計上される。
一方の証券会社は借りた銘柄を機関投資家へ貸し出し金利収入を得ている。貸株サービスではこの一部が個人投資家へバックされる仕組みとなる。
銀行が利息を付けて預金者からお金を集め、企業へまとめて貸し出すのと同じイメージ。
金利収入実績
自分は楽天証券で貸株サービスに申し込んでおり約1,200万円相当を貸し出している。そして貸した銘柄から得られる金利収入は今年59,642円となった。
月別の内訳を見ると次のようになる。
入金月 | 入金額 |
---|---|
2018年1月 | 4,012円 |
2018年2月 | 5,146円 |
2018年3月 | 3,834円 |
2018年4月 | 6,382円 |
2018年5月 | 6,301円 |
2018年6月 | 4,926円 |
2018年7月 | 3,399円 |
2018年8月 | 5,818円 |
2018年9月 | 5,285円 |
2018年10月 | 4,827円 |
2018年11月 | 4,662円 |
2018年12月 | 5,050円 |
合計 | 59,642円 |
貸株ニーズによって金利が変動するため月ごとの収入はバラバラだが、3千円以上は安定的に計上されている。
気になる疑問点への回答
貸株サービスは知っているけど、何となく避けているという人も多いと思うので、勝手に気になるであろう疑問点を挙げてそれに対する回答をまとめる。
Q1.貸株サービスに申込むと配当や株主優待は貰えなくなる?
答えは”イエス。ただし、権利獲得の優先設定をしていれば問題は無い“になる。
確かに貸株サービスを申込むと名義は貸出先に変わってしまい、そのまま権利確定日を過ぎると配当・株主優待の受取権利はなくなる。
ただ、貸株サービスを提供している証券会社では、権利獲得を優先する設定がデフォルトで登録をされており、変更をしなければ権利確定日前に自動で貸株登録が解除される。(そして期間が過ぎれば再度貸株登録がされる)
上記は楽天証券の設定画面。
設定によって貸株金利をもらいつつ、配当金と株主優待を追加で得ることも可能になる。
Q2.貸株サービスを設定していると税制上不利になる?
答えは”権利獲得の優先設定をしていればノー。設定していなければイエス“。
貸株サービスは上で説明したように、権利獲得の優先設定をしていれば配当金が貰える。これは通常の配当と何も変わらないため、貸株サービスが原因で税制上不利になるという事はない。
そして追加で得られる金利収入については雑所得となるためアドセンスやアフィリエイトなどの副収入と同じように扱う必要がある。
一方注意する必要があるのが権利獲得を優先していない場合に支払われる配当金相当額を受け取った場合。
この配当金相当額とは、株の貸出先から本来権利獲得で得られたであろう配当金の相当額が貸し出し人に支払われるお金。
例えば配当金3,000円が貰える銘柄を権利確定をせず株を貸し続けた場合、貸出先の投資家が配当金を受け取ることになる。
この時、配当金3,000円から源泉徴収20.315%が差し引かれた2,391円が本来貰えたはずの配当金相当額として金利とは別に貸出人に支払われる。
この配当金相当額は既に源泉徴収をされた金額になるのだが、税制上の扱いは金利収入と同じく雑所得となる。従って場合によっては追加で税金を払う必要が出てくる。
項目 | 課税区分 | 所得区分 | 税率 |
---|---|---|---|
貸株金利 | 総合課税 | 雑所得 | 0%〜55% |
配当金 | 分離課税 | 配当所得 | 20.315% |
配当金相当額 | 総合課税 | 雑所得 | 0%〜55% |
ここは要注意。
Q3.貸株サービスに申込むと信用取引ができなくなる?
答えは”ノー“になる。
サービスが始まった当初は信用口座開設者に申込み制限があったが、今ではほとんどの会社で代用有価証券とそれ以外を分けることで貸株サービスを利用することが出来るようになっている。
ただ、マネックス証券など未だに信用取引口座開設者の申込みを受け付けていない会社も一部あるため、会社毎に一応確認する必要はある。
Q4.特定口座・一般口座・NISA口座どれが対象になる?
答えは”特定口座と一般口座“。
貸株サービスに申し込みが出来るのは、特定口座または一般口座に保有する上場銘柄。
NISA口座は対象外になるのと、証券会社によってはETFやREITなどの取扱や指定銘柄の取扱に違いがある。
例えば楽天証券ではETFは貸株サービスの対象外となっているが、カブドットコム証券では対象としている。
また、SBI証券ではSBIホールディングス(8473)を対象外銘柄に指定している一方で、GMOクリック証券はGMOインターネットグループの銘柄を取扱対象外にしている。
Q5.米国株や外国株は貸株サービスの対象?
答えは”SBI証券で米国株の貸株サービスが提供されている。その他の外国株は国内では対象外“。
外国株についてはSBI証券が唯一国内の証券会社として“カストック“というサービス名称で米国株の貸株サービスを提供している。
■米国株貸株サービス
カストックのサービス対象銘柄はADRやETFを含む米国証券取引所上場銘柄になる。ただしNISA口座保有分は対象外。
また外国の証券会社ではインタラクティブ・ブローカーズ証券のIBLLC口座で”Stock Yield Enhancement Program“という名称の米国株用貸株サービスが提供されている。
その他の外国株については国内の証券会社では取扱実績は無いが、海外の現地証券会社が同様のサービスを提供しているケースもある。
例えばタイで有名なKT・ZMICO証券では”Securities Borrowing and Lending“という名称でサービスを提供している。
Q6.貸株設定をしていると売却が出来ない?
答えは”ノー“。
貸株設定をしていても株の取引に影響は無い。
貸株設定をしているがために、売却の機会を逃すという事は一切ない。
Q7.証券会社が潰れたら貸した株は帰ってこない?
答えは残念ながら”イエス“。
貸株サービスでは貸出人と証券会社の間で消費貸借契約を結び、無担保の貸借が行われる。従って万が一証券会社が潰れた場合、貸し出した株が戻ってこない可能性がある。
通常の株であれば、分別保管がされるので問題は無いが、貸株サービスは分別保管の対象外となっている。
ここは注意が必要になる。
注意すべき点を理解して上手く活用する
以上の内容より注意すべき点は個人的に2つあると思っている。
1つ目が権利獲得の優先設定をしておき、配当金相当額を受け取らないようにする事。
2つ目が証券会社の倒産時は貸した株が戻らない事を理解し、会社がやばそうになったらすぐに貸株を解除できるようにしておく事。
この点を意識していれば、貸株サービスは配当金に加えて金利という新たな収益を生み出してくれる良いサービスだと思っている。
気になった人はぜひ自身が使っている証券会社で調べてみてください。
以上です。