9月後半の配当を貰ったついでに権利落ち日と株価の考察

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 10

9月前半に引き続き、後半分の配当金が入金された。これで9月分は全て終わり。

合わせてちょうど今日が権利落ち日ということで、権利落ち日と株価下落の関係についての考察を紹介したい。

配当実績

◯東急レクリエーション
2,391円

◯すかいらーく
1,196円

◯あおぞら銀行
4,000円

日本の株は3月締めが多いので3ヶ月後の6月と9月中間決算の支払い月12月が必然的に配当優待ラッシュになる。

そして次に多いのが12月締めで、中間決算6月と合わせて各3ヶ月後の3月と9月が配当優待ラッシュになる。

権利落ち日と株価についての考察

当月権利確定の銘柄は権利落ち日に大きく株価が下がることが知られている。

ただ、果たしてこの下げ幅が合理的なものなのか実際に検証する。

◯権利付き最終日と権利確定日と権利落ち日

株を買って株主になれば誰でも配当金や株主優待が貰える。

ただ、株を買ってすぐに株主になれるという訳ではなく、会社が指定する日付時点で株式を保有していることが条件になる。この日付が権利確定日

通常権利確定日は決算月の月末が指定されている。

また、権利確定日に株を保有するには証券会社へ前もって注文を出して株を買わなければならない。

ただ、株を買うには精算作業で一定期間が必要になるため、権利確定日の3営業日前までには、発注を行わなければ権利確定日時点で株の保有者になれない。

このため、月末権利確定を得るための期限という意味で権利確定日の3営業日前が権利付き最終日と呼ばれる。

権利付き最終日までに発注 or 株を持っていれば権利確定となるが、権利付き最終日を過ぎてしまえば逆に株を売ってしまっても構わない。

この株を売っても構わない日(権利付き最終日の翌営業日)を権利落ち日という。

■権利付き最終日と権利確定日と権利落ち日
権利付き最終日 実質的な配当・株主優待を得るために株を持っていなければならない日
権利落ち日 株を売ってしまっても良い日
権利確定日 会社が指定する株主判定日(配当・株主優待権利判定日)

実際のカレンダーに合わせると下記。

■2016年9月の例
26
27 権利付き最終日
28 権利落ち日
29
30 権利確定日
1
2

◯権利付き最終日に株を買って権利落ち日に株を売る

配当と株主優待だけを貰うなら、権利付き最終日に株を買って、翌日の権利落ち日にすぐ株を売ってしまっても構わない。

であれば、2016年9月27日の権利付き最終日に株を買って、翌28日の権利落ち日にすぐ株を売れば良いのでは?と思うかもしれない。

この方法について実際の例で見てみるが、ほとんど失敗する。

自分が保有する9月権利確定の例でご紹介。

■権利落ち売却(配当のみ企業)
銘柄 権利付き最終日 権利落ち日 下落額 配当 損得
住友商事(株) ¥226,800 ¥220,900 -¥5,900 ¥2,500 -¥3,400
三井物産(株) ¥136,800 ¥135,350 -¥1,450 ¥3,200 +¥1,750
(株)あおぞら銀行 ¥363,000 ¥349,000 -¥14,000 ¥4,000 -¥10,000
第一三共(株) ¥247,350 ¥242,850 -¥4,500 ¥3,000 -¥1,500

上記の例では、権利付き最終日に株を買って翌日に株を売ると、配当金も含めると最終的にいくらの損得になるのかを示したもの。

例えば住友商事であれば、権利付き最終日の22.7万円で株を買って、翌日の権利落ち日に22.1万で売れば約5,900円の損をする。

一方で配当金は貰えるが、金額は2,500円なの売却損失と合わせるとトータルで3,400円の赤字になる。

全銘柄赤字。

次に株主優待実施企業の例。

■権利落ち売却(株主優待実施企業)
銘柄 権利付き最終日 権利落ち日 下落額 配当 株主優待 損得
(株)ゼンショーHD ¥180,500 ¥177,700 -¥28,000 ¥800 ¥1,000 -¥200
(株)アトム ¥695,000 ¥674,000 -¥21,000 0 ¥20,000 -¥1,000
(株)コロワイド ¥953,500 ¥919,000 -¥34,500 0 ¥10,000 -¥24,500

株主優待実施企業でも同じで基本赤字になる。

以上より直前購入と翌日売却だと配当等も含めたトータル収支でマイナスになるという結論になる。(上記は一部の例で見ているが、他の銘柄でも当てはまるはず)

もし市場が合理的であれば、配当や株主優待分のみの下落幅に落ち着くので損得は±0になるはず。

それが全く当てはまらないということが分かる。

比較的ガチな分析

この権利落ちに関するガチな分析は、実は結構行われている。

概略についてこちらもご紹介したい。

個別株の株価変化は、市場全体の動きに影響しているのか、あるいは権利落ちによる影響なのかが単体では分からない。

そこで、個別株の変動と株全体の変動(TOPIX)の変動の差を個別株単体の収益率(個別株超過収益率)と定義して、権利落ちの影響を見る分析を行う。

最初に求めるものは下記↓

個別株超過収益率(AR)

= 個別株収益率(日次変化率) − TOPIX収益率(日次変化率)

例えば、権利落ち日の個別株の収益率が-3%で、市場全体の収益率が-2%であれば、市場全体の動きと変動した部分を取り除いた-1%分が、権利落ち日の影響だろうと推測するもの。

権利落ち日の分析では上記で算出するARのうち、権利落ち日当日のARを使う。

次に、実際に使う分析式は下記の通りで、権利落ち日ARを非説明変数に、配当利回りや優待利回りを説明変数にした回帰式を作る。

AR=α+β(配当利回り)+γ(優待利回り)+ε ※εは誤差項

※回帰式とかカッコつけた名前だけど、中学でやる関数のこと。

ここで、権利落ち日の株価下落が合理的なものであれば、配当金額を超えた株価の下落は起きない。

  • 例)1株1000円で株購入して、配当300円を貰う。買った株はいくらまでなら売っても良いか?
  • ⇒配当金300円を貰っているので、常識的に考えれば収支±ゼロになる970円までなら売っても良いと考える。

従って、上記の式で回帰分析を実施すると、配当利回りと優待利回り相当の係数が-1(1対1の負の相関)に極力近づくはずで、その数字が統計的に有意かどうか調べれば合理性が検証できる。

この分析の結果だが、結論としては係数は-1の数字にならず非合理的な株価下落になる。つまり、上の例で見たように配当で得られるリターンよりも大きな下落幅が見られる。

これは空売りがあったり、利回り関係なしに取引する人の存在であったりといろいろな要因があるためで、そもそも株でピッタリ合理的な数字を作るのは不可能ということを示している。

この分析は、実際多くの人がやっているが、中でも早稲田大学の学生が書いた卒論?がとてもわかり易い。

(こちらの分析では合理性が有意に確認できたと結論を出しているが)

ーーーーーーーーーーーーーー

個人投資家と株式市場の効率性
配当と株主優待の権利落ちに関する考察

http://www.waseda.jp/sanken/publication/sankei/file/42_5.pdf

ーーーーーーーーーーーーーー

興味のある方はぜひ読んでみて欲しい。

無用の理論もたまには教養のために

株とかやっていればわかるが、理論とかは全く無駄。

ただ、最近データサイエンスがどうだとかビッグデータがどうだとか、物凄く耳にするようになり、統計学はそれなりに教養として必要な知識になっている。

勉強するのはいやだけど、この機会に必要最低限の知識は身につけといた方が良いかもしれない。

一応この本はオススメ。

以上権利落ちに関する考察でした。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事・スポンサーリンク