すかいらーくから配当金が振り込まれた。株主優待コスト増による業績悪化と50%減配について思うことを書く。すかいらーく自体は良い企業だと思っている

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先日すかいらーくホールディングスより配当金が振り込まれ、数日遅れて株主優待も届いた。

同社は過去優待の大幅な拡充を行っており、それに起因して18年12期が利益減で19年12月期は50%減配予定となった。

これに関してネット上ではボロカス言われているが、すかいらーくは結構良い会社だと思っているので個人的な意見を述べたい。

※注意:こちらの記事はポジショントークです。

すかいらーくの配当入金タイミング

まずは受領した配当金について。

すかいらーくは中間と期末の2回配当を実施しており、今回受領したのは12月権利確定の期末配当分になる。

■すかいらーくの配当金入金日

  • 中間配当:6月末権利確定・9月中旬振込
  • 期末配当:12月末権利確定・3月中旬振込

金額は特定100株分とNISA400株分で合計10,554円となった。

ありがたい。

すかいらーくの配当推移と最新予想

すかいらーくは2014年に再上場しており、そこからの配当実績と直近の予想をまとめると次のようになる。

■配当実績と予想
中間 期末 合計
2019年(予想) 9 10 19
2018年 16 22 38
2017年 16 22 38
2016年 15 23 38
2015年 11.8 21.2 33
2014年 13.52 13.52

18年12月期までは安定的な配当を続けていたが、19年12月期は38円→19円へ半減する予定となる。

理由は将来の投資に向けて内部留保を確保するためとのことだが、今期営業利益が前期比で▲18.7%となり、19年12月期ではさらに▲3.8%の利益減になることが予想されているのが影響していると思われる。

配当性向で見ると投資ファンドが株を保有していたこともあってか比較的高めの40%が目安となっていたが、ファンドが居なくなった今回より日本企業の平均30%台に戻している。

■配当性向比較
配当性向
2019年(予想) 34.0%
2018年 65.5%
2017年 47.9%
2016年 40.6%
2015年 42.4%
2014年 27.3%

下げ幅が適正かどうかは分からないが、18年12月期が65.5%と異様に高くなっていたのもあって前期比50%減とネガティブイメージの大きい減配となってしまった。

非常に残念。

ただ、今回の発表だけでボロクソ言うのはちょっと早すぎると思っている。

すかいらーくは優良企業

まず最初に説明したいのはすかいらーくの稼ぐ能力は業界の中でも上位クラスということ。

外食企業の売上高上位5社を取り上げると、

  1. ゼンショーHD
  2. すかいらーくHD
  3. 日本マクドナルドHD
  4. コロワイド
  5. 吉野家HD

になる。

これに最新の各指標(19年3月時点)を加えて比較すると次のようになる。

■比較
(百万円) 売上高 売上総利益 営業利益 営業CF
ゼンショー 579,108 327,622 17,611 37,162
すかいらーく 366,360 254,959 22,857 31,571
日本マクドナルド 272,257 53,198 25,045 34,817
コロワイド 245,911 138,658 4,242 16,658
吉野家 198,503 128,913 4,019 9,374

内容を説明しておくと、

  • 売上高
    →いくら売ったか
  • 売上総利益
    →売上高から原価を引いていくらの粗利益になったか
  • 営業利益
    →売上総利益から人件費等を引いていくらの利益になった
  • 営業キャッシュフロー
    →営業活動でいくらの現金を稼いだか

を表している。

基本的に各社本業でちゃんと儲けは出ている。(赤字企業ではない)

単純な数値比較だと分からないので、これを売上高に占める割合を表した指標に置き換える。

■指標比較
営業総利益率 営業利益率 営業CFマージン
ゼンショー 56.6% 3.04% 6.42%
すかいらーく 69.6% 6.24% 8.62%
日本マクドナルド 19.5% 9.20% 12.79%
コロワイド 56.4% 1.73% 6.77%
吉野家 64.9% 2.02% 4.72%

各数字を見るとすかいらーくは業界の中でも高い数字になっていることが分かる。

それぞれ説明する。

まず営業総利益率は売った商品から仕入れ原価を差し引いた粗利の割合を示しており、数字が高ければ利益率の高い商品が売れているということになる。

昔算数の問題でよく出た

「ある商品に原価の◯◯%の利益があるように定価をつけ◯◯◯円にしました。原価はいくらですか。」

みたいなやつ。

業界平均は過去経済産業省が公表した数値(※2007年統計と古い情報だったが割合はあまり変わらないと思うのでそのまま利用)によると小売業で20%台、飲食業で50%台となっており、これと比べるとすかいらーくの約70%はかなり優秀な数字。業界内でもより収益性の高い商品を取り扱っているということが分かる。

ちなみにマクドナルドは人件費=フランチャイズ原価&直営店人件費を含めた数値で公表しているため低い。直営店の材料費だけで見れば粗利率は65%。

■マクドナルドの売上原価

次の営業利益率は売上高から原価と人件費や広告費など営業活動に必要な経費(販管費)を差し引いた額の割合を示しており、数字が高いほどより効率的な営業活動を行っているということが分かる。

これも先程の業界平均を見ると小売が1%台で飲食は3%台なのですかいらーくの6.24%はかなり高い水準。本業で稼ぐ能力は業界内でもトップクラスと言える。

ちなみに日本マクドナルドの営業利益率が9%台と突出しているのは店舗のフランチャイズ比率が約7割と高いのが理由。ロイヤリティー収入がメインになるので必然的に利益率も高くなる。一方のすかいらーくはほとんどが直営店。それで業界平均の倍以上の数字を挙げるのはすごいと思っている。

最後の営業キャッシュフローマージンは売上高に占める営業CFの割合。営業活動によって現金収入をいくら稼いだかを示す指標となる。

よく聞く黒字倒産のように売上が立っても現金の入金がなければ企業は簡単に倒産してしまう。従って売掛金ではなくいくら現ナマを稼いだかが重要になる。

この指標もすかいらーくは高い。

以上より同社は「利益率の高い商品を取り扱い、直営店運営がメインでありながらも効率的な店舗オペレーションによって高い現金収入が得られている」ということが分かる。

競合と比べてもすかいらーくはかなり優秀な経営をしていると思う。

将来への投資は必須

上で説明したように優秀な事業運営を行っているすかいらーくだが、将来もずっと同じかというと全く違う。

人件費や材料費の高騰といった課題は出てくるし、消費税増税や競合の増加など市場環境の変化も企業にとっては大きく影響してくる。

そんな問題に対処するため将来への投資は必須事項となっている。そこで同社は次の施策を次期経営計画で公表している。

①デジタル化の推進

すかいらーくは社内にIT本部を設立しデジタル化を積極的に行っていくことを発表した。

具体的には顧客体験と業務オペレーションの2つの部分でIT技術を活用する予定で、前者は天候・気候、顧客属性に応じたクーポン配布やおすすめメニューの表示、店舗における楽天ペイやLINE PayといったQRキャッシュレス決済サービスの導入などがある。

後者ではデジタルメニューブックの導入から外国人労働者の採用を想定した多言語対応の教育マニュアルの活用、顧客属性データを活用した商品開発と多岐に渡る。

特にQRキャッシュレス決済は宅配サービスで先行して導入を始めているが、店舗での導入も進めば会計処理の効率化と顧客サービス向上の両方が見込める。

■デジタルメニューブックとQR決済

②新規出店・業態転換・リモデル

すかいらーくは従来より単一のファミレスブランドを全国規模で展開していたが、消費者ニーズの多様化に合わせてカフェ(むさしの森珈琲)やしゃぶしゃぶ(しゃぶ葉)、からあげ専門店(から好し)など業態を拡充させている。

今後は新規出店を増やすのみならず、ニーズに合わせた業態転換や既存店舗の内装変更といった店舗投資を積極的に行っていく計画である。

個人的にはむさしの森珈琲はオススメ。

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③社会貢献と働き方改革

最後はEGS(CRSの大規模版)的な意味合いが強いがプラスチック製ストローの廃止や全店・全ブランドの禁煙化を決めている。

また働き方改革では深夜営業や年末年始営業の見直しなどを行っている。定年引き上げも取り組みの一つとして上げられているが、個人的には働き方改革とはあまり関係ないと思っている。

以上より将来への積極的な投資が計画されており、減配したからと言っても社長の懐に減った分のお金が入る訳ではない。最終的には将来的のリターンにつながると考えれば一律批判するのはちょっと待ったほうが良い。

逆に無理してでも配当を維持している企業こそ危ないと思う。

長期的な視点は大事。

(社長がクビになるから多少業績が悪化しても減配はしない。そんなアメリカ企業は素晴らしい!と言っているどこかの米国株投資ブロガーを決してディスっている訳ではないです)

株主優待を改悪せずに減配を実施するのは妥当か?

最後に株主優待を拡充した一方で減配をするのはおかしいのか?という点についてコメント。

ご存知のとおり、同社は2017年6月権利確定分より1,000株保有で年間3.3万円分から6.9万円分へと大幅な引き上げを行っている。

それが今回の利益減の一因にもなっている。

ただ、同社の会計処理では株主優待分を引当金に計上しており、最終的に営業利益へ反映させている。そしてすかいらーくの高い営業利益率6.2%はこの分を含めた数字になっている。

また、実際に1,000株保有で年6.9万円と額面で見ると株主優待は大きな金額に思えるが、実コストとしては原価相当分のみになる。

(※本来株主優待を使わない客から得られたであろう利益分もコスト相当になるのでは?というのは一旦無視します。逆に株主優待をきっかけに優待利用以外での来店につながったらその分は利益になるのでは?というのと同じでタラレバの話しになるので)

先程紹介した同社の営業総利益率69.6%を例で見ると売上高に締める原価率は30.4%になるので6.9万円相当の実コストは2.1万円相当(1株あたり21円)と計算できる。

決してインパクトの少ない金額という訳では無いが、これであれば現在の株価17.9万円換算で18年12月期の利回りは配当金を含めて3.31%、減配後の19年12月期であれば2.12%と妥当な水準になるのではないかと思う。(この試算はあくまでも一例です)

以上を踏まえると内部留保を増やすための対応としては個人株主が多いことも考慮して、株主優待の改悪よりも減配を行うのが妥当だと考えられる。

長期保有でまずは様子見

個人的な感想をいろいろと書いたが、すかいらーくについては株主優待改悪リスクを心配している人の方が多いように感じる。

個人的にはこっちは楽観視しているのだが、実際どうなるかは分からない。

本当に心配だったら今回の減配発表をきっかけに売っても良いし、そうでなければ来期以降の同社に賭けてみるのも良い。

結局は株式投資は自己責任。

長く同じ株を持っていればいろいろあるが、個人的には日本株は長期的に保有するというスタンス。引き続き見守っていこうと思っている。

以上です。

※記事全般に誤認等があれば教えてください。素人の考えで書いてます

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