マレーシアのロングステイビザ(正確にはソーシャルビジットパス)のMM2Hに関して、去年9月以降の新規取得申請のうち90%以上が否決され、同時にMM2Hセンターも閉鎖されたと最近話題になった。
現地ビザ代理業者の業界団体はこの事象に非常に困惑しており同団体代表が記者会見を行っている。日本のエージェントについても一部新規受付を停止している状態。
「ついにMM2H終了か?」とまでネットでは言われてはいるが、この件に関して従来のMM2Hプログラム管轄官庁である観光芸術文化省の大臣が見解を出している。
○担当大臣の見解
補足を加えつつ見解をまとめる。
この記事の目次
見解①:新規受付停止はプログラム改善に向けた見直しに着手しているため
マレーシアで実施された活動制限令の期間を活用し、政府はMM2Hプログラム内容改善に向けた制度の見直しに着手している。
この作業が完了するまでは新規受付は凍結される。
(補足)
マレーシアでは2020年3月18日から6月9日まで間ウィルス抑止のための活動制限を実施していた。MM2Hセンターも期間中は閉鎖されていた。この閉鎖期間中にプログラムの見直しが始まったようだ。
見解②:MM2Hプログラムは観光芸術文化省から内務省入国管理局への業務移管が行われている。承認プロセスの見直しも同時に実施中
観光芸術文化省から入国管理局へMM2H関連の業務移管が行われており、現在MM2Hセンターは閉鎖している。
また移管に伴い承認プロセスの見直しも同時に行われている最中となる。
(補足)
MM2Hは今まで観光芸術文化省が書類審査をし、審査可決後は内務省の入国管理局がビザ受付を行うという分業体制で行われてきたが、2020年7月6日より全ての工程を入国管理局が担当することとなった。
移管に伴う運用改善の一環としてオンライン予約アプリの導入や電子決済による手数料支払いも始まる予定となる。
見解③:MM2Hはマレーシアにメリットがあるプログラムなので長い間凍結させる訳にはいかない
今回の新規受付停止は永久的なものではない。
MM2Hプログラムがマレーシアにもたらす経済的なメリットを考えると長い間凍結させておく訳にはいかない。
2020年12月までには全てを完了させ来年には受付再開をすべきだと考えている。
(補足)
MM2Hはマレーシアにとって経済的に大きなメリットがあると評価されている。
MM2Hは一定水準以上の資産と収入のある外国人に対してマレーシアへの長期滞在を認めるという制度であるため、同プログラム参加者がマレーシアに居住することで生じる消費活動や不動産の購入、定期預金の開設、またはビザ手数料収入で2018年までに累積1兆円を超える経済的な貢献があったと試算されている。
個人的な意見
ビザ改悪の可能性はゼロではないが政府が同国にとってメリットのある施策と評価されている限りはMM2H制度自体の廃止はあまり考えられない。
一方考えられるとしたらビザ取得・更新時の条件引き上げだが、過去の経緯よりプログラム参加者を減らしたくはないという政府の意向もあるので、大幅な条件変更も可能性としては低いと思っている。
従って今回の新規受付一時停止とプログラム見直しはあくまでも運用の効率化を主軸においたものだと個人的には考えている。これまでも煩雑な資産・収入証明をシンプルにすべく形式の統一化が行われているのでその流れの一環とも言えるかもしれない。
いずれにしろ年内には見直しを完了させ、来年より新たな内容で受付を再開するということなので次のアナウンスを待ちたいと思う。
以上です。
コメント
貴ブログでしか得られない情報が多く、いつも大変重宝させていただいております。
こちらで拝見したMM2Hの情報で昨年秋に無事ビザ取得、残念ながら銀行はHSBCにせざるを得なかったのですが、先日丸1年経ち、無事定期預金の利子収入がありました。
私の場合15万リンギットで、かつ利率も2.89%でしたので、4353.87MYR(約11万円)でしたが、ちょっと嬉しかったです。
以上、御礼方々ご報告まで。
コメントありがとうございます。お役に立てて光栄です。現在MM2Hの新規受付は凍結されており来年からは条件が変わるという噂も出ていますのでちょうど良いタイミングでビザ取得をされたと思います。