高い還元が得られるポイントプログラムとスタイリッシュなデザインで人気のKyashだが、よく注意しないといけない部分がいくつかあるので記事にする。
ちょくちょくトラップ仕掛けるのはマジでやめてくれ。
この記事の目次
Kyashとポイント還元について
まずはKyashとポイント還元について簡単に説明。
Kyashは実店舗やネットでカード払いが出来るVisaプリペイドカード。通常プリカと言うと事前のチャージが必要だが、Kyashの場合はクレジットカードと紐付けることで残高が無い状態でも決済を行うことが出来る。
この時に
①Kyashの還元
②紐付けカードの還元
の2箇所で還元が得られる。これがいわゆるKyashの二重取り。
①はKyashが提供するカード種類によって0.5%〜1.0%の還元が得られ、②は紐付けたカードの内容に応じた還元が得られるので、例えば還元率1.2%のリクルートカードを紐付ければ最大2.2%のバックが貰える。
このようにKyash自体の還元率がめちゃくちゃ高いという訳ではないが、二重取りのおかげで高還元率カードとして人気がある。
Kyashのポイント還元対象外取引に注意
とてもお得なKyashだがよく見るとポイント還元対象外の取引にトラップが仕掛けてある。ヘルプページに対象外取引一覧が載っているので見ると次のようになっている。
この中で赤字にした箇所が個人的に気になっている部分。
Kyashポイント還元対象外となる取引
・売上未確定のままのお取引
・交通機関へのお支払い(定期券、乗車券、切符、回数券、特急券などの料金)
・鉄道、バス、モノレール、ケーブルカーなど
・モバイルSuicaアプリでの購入、チャージ
・Apple Pay/Google Pay経由によるモバイルSuicaアプリでの購入、チャージ
・税金のお支払い
・ふるさと納税、税金各種
・公共料金のお支払い
・寄付金のお支払い
・金券、商品券や有価証券等の現金同等物の購入
・また金券、商品券や有価証券等の現金同等物を販売しているサイトでの購入
・郵便局でのお支払い(実店舗・オンライン)
・造幣局の販売サイトでのお支払い
・代金未回収が発生しているお取引
・本人または第三者による不正利用と弊社が判断したお取引
1つ1つ見ていく。
注意点①:交通機関での利用はNG(定期券や特急券を買っても還元対象外)
まずは交通機関での決済はポイント還元対象外というもの。
・交通機関へのお支払い(定期券、乗車券、切符、回数券、特急券などの料金)
他のカード会社でもSuicaチャージはポイント対象外とするケースはよく見るが、Kyasyの場合は定期券を買ったり特急券を買ったりする場合でもKyashポイントの還元対象外で0%になってしまう。
長距離バスとか空港バスとかの切符を買う場合もダメ。
知らないで買う人は結構いるんじゃないの?
注意点②:飛行機やタクシー利用は不明なので要注意
次は乗り物系はダメなので飛行機代やタクシー代は注意したほうがよさそうというもの。
・交通機関へのお支払い(定期券、乗車券、切符、回数券、特急券などの料金)
・鉄道、バス、モノレール、ケーブルカーなど
案内には交通機関へのお支払いが対象外と記載がされており、下には鉄道、バス、モノレール、ケーブルカーなどとも書いてあるので問題なさそうだが、飛行機はばっちり公共交通機関だしタクシーも解釈によっては交通機関なので一応注意は必要。
カッコ内の記載を見る限り電車のことを言っているっぽいし、普通であれば飛行機なら航空券代、タクシーならタクシー代と書くだろうから常識的に考えたら問題は無さそう。
でも念には念を。
注意点③:ふるさと納税での利用は対象外
次はふるさと納税。
ふるさと納税は2,000円を払ってそれ以上の価値の返礼品が貰えるという謎のサービス。ただこれもKyashで支払いを行った場合はポイント対象外取引となってしまう。
・ふるさと納税、税金各種
ふるさと納税サイト自体は一般的なネットショッピングサイトと似ているのでそのまま使ってしまいそうになるが注意が必要。
フェイント多すぎ。
注意点④:郵便局での利用は対象外
次は郵便局。
・郵便局でのお支払い(実店舗・オンライン)
あまりイメージが無いかもしれないが、実は2020年2月より郵便局窓口においてキャッシュレス決済が始まっており、ゆうパックやゆうメール代などをカードで支払うことが可能になっている。
ただ、Kyashだとこれも還元対象外に指定されてしまっている。
フリマアプリを使う人は結構お世話になっているかと思うので注意が必要。
注意点⑤:月間12万円を超えた分はポイント還元対象外
最後は月間12万円を超えるとそれ以降の取引分は対象外となってしまうという点。
ヘルプページには上で説明した利用先ごとの還元対象外取引に加えて次のような案内がされている。
Kyashポイントの月間付与上限
・月間12万円を超える決済ご利用分についてはKyashポイントは付与されません
※そのため獲得予定ポイントと実際の付与ポイントが異なる場合があります<Kyash Cardのポイント付与に関するご注意事項>
1ヶ月あたりの決済限度額に関わらず、月間12万円を超える決済ご利用分についてはKyashポイントが付与されませんのでご注意ください
KyashはKyash CardとKyash Card Liteという2種類の物理カードが提供されており、前者であれば月間30万円までカード決済を行うことが出来る。
ただ、途中で利用額が12万円を超えてしまうとそれ以降の分は全くポイントが付かなくなるので、例えば旅行代金をまとめて支払うなど高額決済を行う際には注意が必要となる。
これもトラップでしょ。
まだまだあるKyashの注意点
上記ポイント還元以外にもいくつか注意点があるのでこちらも紹介しておく。
注意点⑥:海外利用時は3%の手数料が発生する
KyashはVisaブランドの追加プリペイドカードとして世界中のVisa加盟店で決済が行える。
還元率が高いので「海外旅行時もKyashを使おう!」と思うかもしれないが外貨建てで取引を行うと手数料3%が上乗せされてしまうので止めた方が良い。
海外(オンライン/実店舗)でカードを使った場合の換算レートや手数料を教えてください
・Visaインターナショナルの決済センターにご利用データが到着した時点の為替レートが適用されます
※実際にカードをご利用された日のレートではありませんのでご注意ください。
・ご利用時におけるVisaの定める為替レートを基準とし、円換算した金額に海外サービス手数料 3% を加算して請求いたします
一般的にクレジットカードであれば1.6%〜2.0%なのでKyashはかなり割高。
注意点⑦:本人認証サービス(3Dセキュア)には未対応
こちらはあまり大きな影響はないかもしれないが、Kyashは本人認証サービス(3Dセキュア)に対応していない。
本人認証サービス(3Dセキュア)は不正利用を防ぐための仕組みで、ネット決済などの際にカード情報に加えて本人しか知り得ない情報を入力することでなりすましによる不正取引を未然に防ぐ。
Kyashは現在このサービスに対応していないため、本人認証サービスが必須のQR決済アプリへの登録やネットショップでの利用は一律不可となってしまう。
注意点⑧:Kyash紐付け時は還元率0%になるクレカがある
最後はKyashではなく紐付けするカード会社が還元率を制御しているケースについて。
冒頭に説明したとおり、Kyashはクレジットカードと紐付けることで二重の還元が得られる。
①Kyashの還元
②紐付けカードの還元←これが0%
この時Kyashによる紐付け決済を行った場合は紐付けされたカード会社側で特典を対象外にしてしまうというケースがある。例えば最近出たVisa LINE PayクレジットカードはKyashで利用してもポイント還元対象外となる。
下記はポイント還元の対象外となります。
・電子マネー/プリペイドカード/Walletサービス等へのチャージ
(WAON,Edy,Suica,PASMO,Kyash等)
・金融商品の購入(投資信託、証券等)
・税金/保険において、1回あたりの支払につき5万円を超える分
・国民年金保険料
・寄付
・年会費(クレジットカード年会費、ETC年会費等)
・手数料(リボ払い・分割払い手数料等)
・キャッシング
・その他、当カードの利用において指定するポイント対象外の商品/サービスLINEより
また現金1%割引がメインのP-oneカードも対象外。
Kyashにカードを紐付ける際には事前にカード会社側の条件を見たほうが良い。
そもそも薄利多売でしかもコバンザメ商法をやっているようじゃ将来続かないと思う
いろいろ注意点はあるが、最近はApple Payにも対応しQUICpay利用時の還元も復活したので日常生活においてはお得で便利なKyashを積極的に使おうと思っている。
ただ、個人的にサービスリリース当初から見ていると、そもそもこのサービスは将来続くのかと疑問に思う部分がある。
というのもKyashがサービスを提供することで得られる収益は主にカード取引金額応じて加盟店から支払われる手数料となるのだが、Kyash自体はお店と契約している訳ではないのでVisaが定めている料率分のみが収入となっている。
よく決済手数料率3.24%とか見るのはVisaではなく事業者自体がお店と契約する場合の料率だがKyashはお店と契約していないので無関係。
日本におけるVisa料率は公表されていないが、ある会社が経産省へプレゼンした資料を見ると海外ではプリペイド料率は0.05%~0.2%+α、クレカ料率は0.275%〜2.4%+αとなっているので、仮に真ん中イギリスのクレカ料率1.4%ぐらいだとすると、Kyashが行うポイント還元1%分を差し引いた0.4%が実際の粗利となる。アメリカのクレカレベルであっても1.2%程度の粗利率。
そこから更にシステム費用やら処理費用やらが差し引かれることになるのであまり儲かるビジネスモデルではないと思われる。
一般的なカード会社であれば加盟店と直接契約しているのでこの手数料率がもっと高かったり、更に年会費やらリボ手数料やらでトランザクション以外の収益があったりするのでこの差はかなり大きいはず。
またKyashは薄利ながらもクレカ紐付けの二重取りで還元率を高く見せて取扱高を増やしているが、本来はプリペイドカードなので事前チャージを行うものであり、仮にクレジットカードによるチャージが可能であったとしてもカード会社がチャージ取引の還元率を0%にしてしまえばKyashの優位性は一気に失われてしまうことになる。
多くのカード会社がSuicaやEdyなどへのチャージを還元対象外にしている状況からするとKyashは単に見逃されているだけに思われる。
そんなことで収益性が低くコバンザメ商法で薄利多売を続けている限りKyashに将来性はあまりないと個人的に思っている。
(そもそも最初は一律2%の高還元率を謳ってサービスリリースしたのに、ある程度人が集まったら1%まで下げるというFintech関連企業で流行りの人集まったら改悪商法をやっている時点であまり好きではない)
大きな資金調達をしたり法人向けサービスを展開したりしているが、いつ収益化出来るかが大事。
Kyashは引き続き使い続けるが、同社の動向は見守りつつ、万が一の際にはすぐに逃げられるようにしておこうと思う。
以上です。