いきなりステーキの運営会社ペッパーフードサービスがまさかの米国市場NASDAQ上場へ!米国預託証券ADRとは?

本日ペッパーフードサービスより米国市場NASDAQ上場申請完了のお知らせが発表された。

同社はいきなりステーキやペッパーランチの運営会社。

2017年より始まったいきなりステーキの米国進出に合わせて、現地での知名度獲得を目的に上場を準備している。

かなり賭けだと思うが期待している。

全米制覇頼みます。


2019年6月15日追記

発表後1年も経たずに上場廃止がアナウンスされました。残念!


ペッパーフードサービスが米国市場NASDAQ上場へ!

ペッパーフードサービスはペッパーランチやいきなりステーキを運営する東証一部上場の外食企業。そんな同社より米国株市場NASDAQ(Global Market)への上場申請完了の案内が発表された。

配当を貰って喜んでいたらまさかの米国市場上場の発表。

■ペッパーFSの発表

米国NASDAQ市場でのADR上場申請のお知らせ

当社は、日本時間の平成30年9月4日夜に、当社普通株式を原株とする米国預託証券1 (以下「本件ADR」という。)の登録のため、米国証券取引委員会(以下「SEC」 という。)にフォーム20-F及びフォームF-6による登録届出書を提出しました。これら の登録とともに、当社は、米国NASDAQ GLOBAL MARKET(以下「NA SDAQ」という。)に、本件ADRの上場を申請しました。これにより、①NASD AQより、本件ADRの上場承認が得られ、②登録届出書につきSECにより効力発生 の宣言がなされ、かつ、③その他の法令又は規則に基づき必要な手続が完了したとき は、平成30年9月28日頃(米国東部時間)に、本件ADRがNASDAQに上場される予 定です。ティッカーシンボル(証券銘柄)は、「KPFS」となる予定です。

(以下省略)

ペッパーフードサービス(https://www.pepper-fs.co.jp/_img/ir/lib/2018/PFS20180905.pdf)より

これは胸熱。

米国預託証券(ADR)を使った上場

今回の上場手続は米国預託証券(ADR)制度を活用して進められている。

米国預託証券(ADR)とは、外国の企業が米国市場へ上場する際に活用される一般的な仕組みで、預託銀行が自国の株式を裏付けとして発行をする証券の事を指す。

この預託証券を取引所に上場させ、ドル建て取引を可能にすることで米国市場への上場が完了する。

■ADRと株式
ADR 株式
形式 預託証券 株式
発行者 預託銀行 上場企業
価格の裏付け 自国の株式 企業の信用
価格の決定 需給バランス 需給バランス
議決権 代行行使 直接行使
配当 あり あり
米国課税 なし あり
自国課税 あり
管理料 あり なし

投資家にとっては米ドルでの取引が可能になるのがメリットだが、預託証券の管理料が発生するのと、配当が自国株式 の配当を源泉とするため、本国の源泉徴収が行われるというのがデメリットになる。

米国預託証券(ADR)の種類とペッパーFSの上場申請内容

米国預託証券(ADR)にはいくつかの種類があり、上場・非上場、増資を行う・行わないの目的別に申請内容が異なる。

まとめると次の4種類。

■ADRの種類
店頭取引 上場 増資 年次報告
スポンサーなしADR 不要
レベル1プログラム 不要
レベル2プログラム 必要
レベル3プログラム 必要

スポンサーなしADRは預託銀行が勝手に発行するADR。それ以外は企業が預託銀行と契約して発行するスポンサーありのADRとなる。

スポンサーありのADRで非上場の取引を目的とした場合はレベル1プログラムの申請を行う。

一方で上場を目指す場合はレベル2プログラム、またはレベル3プログラムの内容で申請を行う必要があり、後者は現地で増資を行うことも出来る。いずれの場合も上場後継続的に年次報告書の提出義務が課せられる。

今回ペッパーフードサービスは取引所への上場のみを目的としたレベル2プログラムの内容で申請を行っている。

現在は必要な書類の提出が完了している状態とのことで、無事に承認が得られれば9月28日に上場となる。

ティッカーシンボルはKPFSとのこと。

米国市場上場の目的は?日本企業は相次いで上場を廃止している

かつては日本の一流企業が多く米国市場へ上場をしたが、その後上場廃止が相次ぎ、現時点で12社のみが残っている。

■現時点の米国上場日本企業
企業名 市場 シンボル 上場日
LINE NYSE LN 2016/07/14
ソニー NYSE SNE 2014/10/15
FRONTEO NASDAQ FTEO 2013/05/21
三井住友FG NYSE SMFG 2010/11/03
みずほFG NYSE MFG 2006/11/08
野村HLDG NYSE NMR 2001/12/17
三菱UFJ FG NYSE MUFG 2001/04/02
トヨタ自動車 NYSE TM 1999/09/28
IIJ NASDAQ IIJI 1999/08/03
オリックス NYSE IX 1998/09/16
キヤノン NYSE CAJ 1979/01/01
本田技研工業 NYSE HMC 1977/01/01

直近ではLINEが2016年に上場をしており、古くはホンダが1977年に上場をしている。

一方2015年以降に上場を廃止した企業を挙げると次のようになる。

■上場廃止企業
企業名 市場 シンボル 上場日 上場廃止日
NTTドコモ NYSE DCM 2002/03/01 2018/03/19
京セラ NYSE KYO 1980/05/23 2018/06/05
NTT NYSE NTT 1994/09/29 2017/04/03
アドバンテスト NYSE ATE 2001/09/17 2016/04/22
日本電産 NYSE NJ 2001/09/27 2016/05/02
コナミHLDG NYSE KNM 2002/09/30 2015/04/24

上場廃止後も引き続き店頭取引(OTC取引)でのADRプログラム参加を継続しているとこもあるが、年々日本企業の上場数は減ってきている。

米国市場上場廃止の理由はだいたい同じ雛形で説明をされているが、取引量が少ない一方、報告書の提出も含めた上場維持の負担が大きいというのが本音とみられる。

要はコストが掛かるだけで、米国で上場を維持することの経済的な合理性がないという判断。

そんな中、比較的規模の小さいペッパーフードサービスがあえて米国で上場を申請したのは、米国における知名度獲得が理由になる。

同社は2017年2月よりニューヨークにいきなりステーキ1号店を出店し、現在までに5店舗まで増やしている。

そして今年度末までには11店舗まで拡大する計画を立てている。

■米国のいきなりステーキ
開店月 店舗名 店舗
2017/02 East Village店 1号店
2017/12 Chelsea 7th Ave店 2号店
2018/01 Times Square店 3号店
2018/02 Chelsea 8th Ave店 4号店
2018/02 5th Avenue店 5号店

またペッパーランチ事業も米国進出を果たしており、こちらも2号店を今年中に出店する見込みとなる。

このような状況の中、フランチャイズ加盟店の獲得を含めた店舗拡大には、アメリカにおける同社の知名度向上が必要と判断し、今回米国市場への上場申請を行っている。(単なる社長の自己満の可能性も否定できないけど)

すげー!と思うかもしれないが、他の日本企業が撤退したように、上場には維持コストが発生するのでかなりの賭けだと思う。

有言実行!NASDAQ上場は以前から公言していた

今回のNASDAQ上場は何もサプライズ発表ではなく、実は以前から計画されていた内容になる。

この件は2017年3月21日発行の社内報でも「3年後のNASDAQ上場」について語っており、その後も度々メディアへ同様の説明をしている。

■2017年3月発行社内報ペッパーフードサービ社内報より

まさに前倒しで有言実行をした形になる。

普通であれば躊躇するような事もどんどん前へ進めていける人は、あれこれ心配して動かない人よりも成功する可能性が非常に高い。

有言実行&ポジティブシンキングはやはり大事。

果たして今回の米国市場上場が将来的にどう影響してくるのか現時点では全くの未知数ではあるが、やるからには積極的な攻めていってもらいたいと思っている。

個人的には応援している。

全米展開よろしく頼みます。

以上です。

コメント

  1. intercontipapa より:

    ペッパーフードサービスがADRですか。これは面白いですね。日本のペッパー高すぎて買い戻せないので、せめてADRで、とふと思いました。

    • mdish より:

      結局は社長の自己満な気がしています・・。果たして費用対効果はあるのか疑問です