日本株には無い海外株の配当制度!配当再投資プランと株式配当をご紹介

先日、海外投資先マレーシアで保有する株で海外株独自の配当制度が適用された。

内容は配当再投資プラン(Dividend Reinvestment Plan)と株式配当(Share Dividend)。

ぜひご紹介したい。

コーポレートアクション

今回ご紹介する配当制度は”コーポレートアクション”として証券会社経由で通知がされた。

このコーポレートアクションとは、株に影響を与える企業の財務活動のことで、具体的には株式分割や配当支払い、単元株変更、増資などが該当する。

■コーポレートアクション

言葉自体ははあまり聞かないものの、日本株であっても特段珍しいものではない。適時開示の内容と同じと理解をした。

今回適用となった内容についてそれぞれ詳細を説明する。

制度①:配当再投資プラン(DRIP)

まず最初に適用となったのがMaybankの配当再投資プラン。

これは以前記事にまとめている内容だが、今回問題なく申請が通ったので結果の報告。

◯Maybankの配当再投資プラン

先日マレーシアで保有するMaybankの株が権利確定となった。 このままにしていれば11月に配当金が貰えるのだが、今回は配当再投資プラ...

配当再投資プラン(Dividend Reinvestment Plan)とは、配当金を受け取る代わりに配当金相当分を新たな株に割り当ててもらうという制度。

今回適用となったのは大手銀行のMaybankで、配当の一部を再投資に充て、残りを配当金として受け取るという内容。

再投資分の株は割引価格で購入が出来るのだが、今回のケースでは価格決定時の市場価格より5%以上も低く設定された。また買付けにかかる手数料も発生しないので、無料で安く株が手に入れられた。

配当再投資プランの手続きを行うには、まずはプランに応募するかあるいは応募せず通常どおり配当金として受け取るかの選択をしないといけない。

ネット証券会社のRakuten Tradeであればオンライン上で申請する事ができる。

■配当再投資プラン応募

もう1社対面型証券会社のCIMB IBでもMaybank株を持っており、この場合は郵送されてくる申込書を送り返して応募する形になる。(ただ、前回同様に自分のところには案内すら来なかった・・。)

申請が終わったらあとは実行を待つだけ。

この時気になっていたのは、2つの証券会社で同一銘柄を保有していたので、果たして全て適用になるのか?といった部分。

結果としてはネットから応募をしたRakuten Trade保有分のみ適用で、案内すら来なかったCIMB IB保有分は通常どおりの配当となった。

■保有状況とDRIP適用結果
証券会社 保有株数 再投資受領分 配当金
Rakuten Trade 800株 16株 RM40
CIMB IB 100株 RM23
合計 900株 16株 RM63

合計900株保有で1株配当RM0.23なので、合計金額換算RM207相当(約5,500円相当)の受領。

CIMB IBは支払日に配当金は振り込まれたが、Rakuten Tradeは株が先に反映され、数日経ってから配当金が振り込まれた。

制度②:株式配当

次に適用となったのはYTL CORPORATIONの株式配当。

株式配当とはStock DividendやShare Dividendと呼ばれるもので、配当とは関係なく、保有株数に応じて追加の株が貰えるという制度。場合によってはSplit(分割)と案内されることもある。

日本株でも分割はよく見かけるが、あれは1株を2株にしたりと、言葉どおり株を分割しているだけなので、投資家には直接的な恩恵はない。一方の株式配当は追加で株が貰えるので配当と同じく資産が増える。

今回の保有株YTLの案内では、10/26締め時点の株式保有数に応じて、50株につき1株の自己株式を配布するとのことだった。

案内の掲示は少し前の8/29。

The Board of Directors of YTL Corp is pleased to declare a distribution of one (1) treasury share for every fifty (50) existing ordinary shares held (“Share Dividend”).  The book closure for the Share Dividend is 26 October 2017.  Fractions of treasury shares are to be disregarded.

8月29日開示情報(http://www.bursamalaysia.com/market/listed-companies/company-announcements/5530785

公式案内だとStock DividendではなくShare Dividend。(イギリスの影響を受けているのでStockではなくShare)

今回締め日から10営業日以内に処理されることは事前に確認をしていたのだが、10日後当日になっても口座に変化がなくてかなり気になっていた。

そうしたら11/9に実行完了の案内が掲示される。

Further to the announcement of 29 August 2017 in relation to the distribution of one (1) treasury share for every fifty (50) existing shares held in YTL Corp (“Share Dividend”), the Board of Directors of YTL Corp is pleased to advise that the Share Dividend has been credited into the respective CDS accounts of the entitled shareholders on 9 November 2017.

A total of 210,696,721 treasury shares have been distributed to the entitled shareholders in relation to the Share Dividend

11月9日開示情報(http://www.bursamalaysia.com/market/listed-companies/company-announcements/5597441

そして翌日11/10には口座に反映がされた。

■Share Dividend

2,800株を保有していたので56株が追加で貰えた。取得単価はもちろん0円。こちらも漏れなく完了となって良かった。

過去何度かマレーシアの金融機関とやり取りをしていて分かったのだが、噂どおり日本人基準だと動きが遅くて不安に思う部分もあるが、最終的にはしっかり対応してもらえるので過度な心配は不要ということ。(というか自分がせっかちなだけか?)

今回で要領が掴めたので、今後はゆったりと構えるようにしようと思う。

まだ知らない事が多いが、新しい発見があって楽しい

今回マレーシア株で初めて配当以外の手続きをしてみたが、いろいろ新しい発見があって楽しい。ただ、まだまだ知らないことが多いので、引き続き多くを学んでいきたい。

そんなことで来年は現地企業や投資の仕組みをより知るため、旅行も兼ねて現地の株主総会に参加してみようと計画している。まだ本当に行けるか分からないが非常に楽しみ。

ここからはかなりマニアックな内容を書くので、ここまで読んでいただいた人はありがとうございました。

いったんは終了。

【参考】マニアックなはなし

マレーシアで証券口座を開くと、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)内でCDS(Central Depository System)口座と呼ばれる株の精算専用口座を開設する事になる。日本のほふり機構の口座を個人が開設するようなイメージ。

今回、配当再投資プランを申し込んだMaybank株はRakuten TradeとCIMB IBの2つの証券会社でそれぞれ保有をしていたのだが、このCDS口座が別となったため、それぞれの処理になったようだ。

そしてその他のコーポレートアクションについても、証券会社毎に証券管理会社(カストディアン)が異なるため、各手続きも別々になる。

日本だと証券会社毎ではなく、投資先の会社毎に株主名簿管理人が指定されるため、たとえ同一銘柄を複数の証券会社で持っていても手続きが分かれるという事はない。ここは大きな違い。

また更にいろいろ調べるとマレーシアの証券管理会社は海外投資家用と国内投資家用に分かれて、それぞれ◯◯ Nominees (Tempatan) Sdn Bhdと◯◯ Nominees (Asing) Sdn Bhdが証券会社の系列会社として存在している。

Tempatanはローカル、Asingは外国、Sdn Bhdは非上場会社の意味。

個人がマレーシアで証券口座を開設すると証券管理会社はローカルの方となり、Rakuten Tradeの場合は、日本の楽天証券との合弁先ケナンガインベストバンク系列のKIBB Nominees (Tempatan) Sdn Bhd が指定されている。

そして◯◯ Nominees (Tempatan) Sdn Bhdは、証券の管理のみならず、名前のとおりノミニーサービス(名義貸しサービス)も提供している。

このノミニーサービスとは欧米でよく見られる制度で、証券口座あるいは証券名義を投資家個人ではなく、証券会社の名前にしておくという内容。

これにより証券会社は名義毎の証券管理が不要となり、また委任手続き無しでスムーズに投資家からの依頼に対応する事が来る。

日本だと馴染みはないサービスだが、イギリスの影響を大きく受けているマレーシアでは制度化されている。

そして今回のRakuten Tradeで証券口座開設を申し込んだ場合は、上で説明したCDS口座はノミニー(名義貸し)口座となり、KIBB Nominees (Tempatan) Sdn Bhd名義になる。

従ってRakuten Tradeを経由して購入した株は、厳密な意味で自身が保有する株ではない。

■DirectとNomineeの違い
  Direct CDS Nominee CDS
名義 個人名義 証券会社名義
コーポレートアクション 個人申請 証券会社経由の申請
株主総会 参加可 要証券会社の委任状
IPO 応募可 応募不可
年次レポート 個人宛に送付 証券会社経由
配当 直接振込 証券会社経由

保有する株が証券会社名義となるため、各種手続きは証券会社に依頼をする必要がある。またIPOへの応募はNominee CDSだと認められていない。

上記の比較を見るとNomineeに良いところが無いように思うかもしれないが、おっしゃるとおり正直メリットは無い。

ただ、今回のRakuten Tradeは違う。今回の手続きを通じてネット専業証券ならではのメリットを実感した。

今度は口座を開いているCIMB IB(Direct型)とRakuten Trade(Nominee型)で比較する。

■CIMB IBとRakuten Tradeの比較
  CIMB IB Rakuten Trade
CDS Direct Nominee
名義 個人 KIBB Nominees
コーポレートアクション 印紙を貼り付けて直接郵送 web申請で費用は不要
株主総会 企業へ直接申し込み 7営業日前までにメールでRakuten Tradeに依頼
IPO 応募可 応募不可
年次レポート 個人宛に送付 証券会社経由
配当 当日振込 数日後振込

最大のメリットはコーポレートアクション。

上でも説明のとおり、CIMB IBで保有していたMaybank株では、配当再投資の案内すら届かなかった。

過去、海外居住者は申込み対象外にしている旨の説明がされていたのでそれが理由かと思っている。また仮に案内が届いたとしても印紙代を貼り付けて送り返す必要があるのでかなり手間がかかかる。

一方のRakuten Trade経由で保有している株の場合は、名義人がそもそもマレーシアの企業なので対象外になるということない。

そして代理手続きも従来の証券会社と違ってwebで全てが完結する。印紙代も不要でかなり便利であった。

またそれ以外でNominee型のデメリットとなる証券会社への依頼・委任関連については、こちらもフルオンライン証券ということで全てメールやフォームからの手続きで完結する。

特に大きなデメリットになることは無い。

唯一課題を挙げるとしたらIPOが申し込めないことぐらいだが、コーポレートアクションがスムーズに行えるメリットと比較したら大した事は無い。(いずれにしろCIMB IBを使えば申し込めるので)

あとは細かい部分だが、企業から送られてくる郵送物が意外と多く、ゴミになるだけだったので名義人であるRakuten Tradeに依頼をしない限りは届かないという仕組みは個人的にはありがたい。

そもそも年次報告書とか株主総会案内とかwebでも見ることが出来るので紙は不要。

あとは株主総会への参加もチャレンジしたいので、本当に行くことが決まったらぜひ委任状の取得も試す。

以上です。

コメント

  1. intercontipapa より:

    マニアック部分も含めて、英国式?のshareholderへの具体的な還元方法や管理方法が分かって勉強になります。ぜひ株主総会参加の話もまた聞かせてください。

    • mdish より:

      ありがとうございます。アメプラで手配したハワイ旅行も興味がありますのでぜひお聞かせ頂きたいです。